三井物産は新事業を創出するため、勤務時間の2割を担当業務以外に使える仕組みを導入した。営業部門などから募った従業員44人を対象とする。シニアや農業・水産業など8つのテーマに沿って自由に市場調査をしたり、事業計画を立てたりできる。同様の制度は米スリーエム(3M)や米グーグルが取り入れているが、日本の大手企業では異例だ。
主に金属資源や鉄鋼製品、食糧など12の営業本部から選び、経営企画部に事業開発チームを新設した。メンバーは新入社員から室長・次長級まで幅広く、出身部門に関係なく希望するテーマにかかわる。テーマは日本文化、水素・地熱、企業向け電子商取引などもある。
メンバーは出身部門と兼務しながら、勤務時間の2割を自由に使える。上司に報告する必要はなく、同じテーマを選んだメンバーと企画会議や事業性調査、協業相手探しなどに専念できる。
期間は来年9月末まで。活動費用は経営企画部が担い、最終的に新規事業案を経営陣に示す。成果があれば来年10月以降、メンバーを入れ替えて継続する。(日本経済新聞 11月18日)
三井物産は勤務時間の2割を自由研究に割り振ることで、化学反応が発生することを狙っているのだろう。
その昔、電電公社が民営化した当初、新規事業担当者に企画のヒントをどこから得ているかを尋ねたら「聖書です。聖書をビジネス書として読み返すと、いろいろなヒントが得られるんですよ」。この担当者は、聖書のどの一節から何を得られるのかまでは話さなかったが、「森羅万象のフレームワークが見えてきます」と異次元の見解を示してきた。
異分野に接すると化学反応が起きるという印象を強くしたものだ。
三井物産の取り組みが成果を出すかどうかはともかく、これは人材と資金に余裕のある大手企業にしかできない。大手がこうした取り組みを展開すると、中小企業とますます差が開いてしまう。化学反応よりも格差拡大が気になるニュースである。
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