「国道248号線の“見えない壁”が壊れた」
トヨタ自動車では、経営層をはじめ多くの社員がこう話している。というのも、研究・
開発の技術者と生産技術の技術者とが、13年春に完成した「パワートレーン共同開発棟」
で一緒に働くようになったからだ。
トヨタではこれを「働き方改革」(加藤光久副社長)と位置づけている。
名鉄・豊田市駅から岡崎市に向かって国道248号線を15分ほど車を走らせると、広大
なトヨタの施設群が見えてくる。左側には技術部門(研究・開発)の総本山があり、右には
生産部門の拠点が広がる。
両者を2つに区切るのが国道248号線であり、見えない壁とは技術部門と生産部門が
隔てる“障壁”を意味する。
技術や生産、調達といった機能別の強さはトヨタの特徴だ。だが、機能別の強さは半
面で強烈なセクショナリズムを生む。縦割りの関係性は強く、横のつながりは希薄。国道を挟んだ左右の両者は、これまでほとんど相容れなかったのである。(プレジデント11月13日)
トヨタ自動車や花王、セブン-イレブン・ジャパンなど超優良企業の経営手法はさまざまなメディアであふれるほどの紹介をされ続けている。「なるほど」と納得せざるを得ない手法ばかりだが、ベンチマークと称して自社に導入しようと試みても、おおかた上手くいかない。土壌が違うのだから当然だ。
まして中小ベンチャー企業の場合、新たな手法の導入は、経営者のセンスに合致するかどうかで成否が決まる。冷凍食品メーカー、東亜食品工業の木子吉永社長はこう指摘する。
「どんなに優れた手法でも社長の性格に合わなければ失敗する。中小企業の経営は社長の性格に合う方法で行なうことが大切だ」
至言である。中小ベンチャー企業の経営者は自分の性格を把握することだ。たとえば事業規模拡大型か、専門特化型か。これも性格である。
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