衣料専門店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は10日、正社員に1日4時間程度の短時間勤務を認めたり、一つの店に複数の店長を置いたりする方針を明らかにした。子育てや介護をしながら働く女性を幹部に多く登用する狙いだ。
朝日新聞のインタビューに応じた。管理職に占める女性の割合は現在1割強。柳井氏は、これを2017~20年に3割強に引き上げることをめざす。執行役員も、現在の1割弱から3割強に増やす考えだ。時短勤務でも店長などを経験しやすくし、女性の幹部登用につなげる狙いだ。
具体策としては、1日の労働時間を8時間、6時間、4時間から選べるようにする。現在、子育てや介護中の正社員に6時間勤務を認めているが、4時間勤務を新たに認める。
長時間の勤務が難しくても店長ができるように、一つの店に複数の店長を置くことも検討している。また、パートやアルバイトで雇っている販売員は正社員への切り替えを進め、社員教育を強化。その多くが店長の代行を務められるようにする。(朝日新聞デジタル 11月11日)
ファーストリテイリングが急速にワークライフバランスを実現させる人事制度を打ち出した。理由はたぶんブラック企業批判や人手不足解消などではなく、経済性と社会性の両立が可能になる水準にまで懐具合に余裕が生まれ、経営陣の意識が変わったのではないか。
社会性を犠牲にして経済性を優先するのが多くの成長企業だが、このスタイルはどこかで綻ぶものだ。そして経済性と社会性の両立を指向した企業が、次の成長段階へと進み、さらに社会性の追求によって経済性の確立を図るようになれば、真の一流企業として広く社会から評価されてゆく。
これが通常の成熟パターンだが、老舗名門企業に見られるように、連綿と経済性と社会性の両立を実践している例もけっして少なくない。そうした会社では、おしなべて朝礼が社員教育の場として機能している。
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