厚生労働省は企業に対して社員の有給休暇の消化を義務付ける検討に入った。社員の希望をふまえ年に数日分の有休の取得日を企業が指定する。社員から有休取得を申し出る今の仕組みは職場への遠慮から休みにくい。労働基準法を改正し法的義務にすることで欧米より低い有休の取得率を引き上げる。「ホワイトカラー・エグゼンプション」など労働時間の規制緩和と並行して長時間労働の是正を進め、働き手の生産性を高める。
厚労省の労働政策審議会で議論して、来年1月召集の通常国会に出す労働基準法改正に盛り込む。早ければ2016年春の施行を目指す。
働かなくても賃金を受け取れる有給休暇は、6年以上働けば年20日分もらえるようになる。現在は社員が企業に申し立てる必要がある。企業には社員に有休を取らせる義務は無く、日本の有休取得率は47%にとどまる。(日本経済新聞 10月3日)
戦中の「欲しがりません。勝つまでは」の土壌は、滅私奉公文化に支えられて「目標を達成するまでは寝食を忘れて働きます」の企業文化に脈々と継承されている。成果主義人事が浸透して以降、この風潮はいっそう強まり、ブラック企業を続々と“排出”するに至った。
有給休暇を取りやすいかどうかは、何よりも職場の空気に大きく左右される。ためらいなく取れるか、それとも取得の申請に一抹の遠慮をともなうのか。
本来、経営トップや幹部が率先垂範して有休を取得すればよいのだが、それでも目標未達の社員にとって、有休の申請は後ろ髪を引かれるような心境になるらしい。取得の義務化などきわめて不自然な措置だが、外圧を加えないと変革がはじまらないのが現実だ。
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