経済産業省は15日、全国の中小企業を対象にした賃上げ調査の結果を発表した。2014年度は64.5%がベースアップ(ベア)や賞与増額、定期昇給などの形で賃金を引き上げた。13年度の56.8%から7.7ポイント増加し、賃上げを行う企業の裾野が広がった。
今年6月、中小企業3万社に調査票を送り、1万380社から回答を得た。茂木敏充経産相は「地域間の格差も縮小し、経済の好循環が着実に波及しつつある」と述べ、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の成果を強調した。
賃上げの内訳はベアが36.2%、賞与や一時金が48.0%(うちベアも実施は20.9%)、定昇などは36.7%だった。ベアの幅は「2000~5000円未満」が42.4%で最も多かった。(時事通信 8月15日)
中小企業にもおよんだ賃上げはアベノミクスの成果である。閣僚が声高にアピールすると党利党略が見え見えで好感をもてたものではないが、それでも実績は実績だ。
2020年の東京五輪に向かう過程では、生産年齢人口の減少や消費増税などで景気の腰折れは必須だろうから、50年前の所得倍増計画のような気前のよいビジョンは描けない。アベノミクスによる賃上げは線香花火として歴史に記されるかもしれないが、一瞬でも灯してくれただけでよしとすべきだろう。
それにしても、日本の借金大国ぶりは凄まじい。IMFの調査によると、名目GDPに対する一般政府債務残高で日本は2019年に230%に膨らみ、ギリシアの138%、イタリアの122%、米国の107%などを大きく引き離している。
その渦中に五輪を開催するのである。五輪後の景気リセッションで、さまざまな不都合な真実が見えてくるに違いない。
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