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厚労省認定「若者応援企業」を提訴

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厚生労働省が認定する「若者応援企業」に入社したのに、十分な研修がなく、残業代も支払われなかったとして、神奈川県内の女性(24)が7日、IT会社などに慰謝料など約500万円の支払いを求める裁判を東京地裁に起こした。
訴えられたのは、ライフクリエイションズ(東京都港区)など。訴状などによると、女性は2013年11月から研修を受け、12月に別の会社にシステムエンジニアとして派遣された。未経験の女性が上司に質問しても指導はなく、逆にパワハラの対象になったという。基本給は18万円で、200時間まではみなし残業とされた。
「若者応援企業」は、企業が正社員の求人をハローワークに出す際、教育制度があることや労働法に違反していないことを条件に認定される。現在全国に約3500社。ライフ社は昨年度から認定されている。
ライフ社は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(朝日新聞デジタル 8月8日)

厚生労働省は「若者応援企業」としてお墨付きを与えた以上、定期的にモニタリングを行なう必要がある。相応の時間とコストは伴うが、若者は国のお墨付きを信じて、その企業に人生を託すのだから、モニタリングは責務だろう。

ライフクリエイションズで起きた問題の真相は分からないが、就労環境を一時的に改善したところで、時間の経過とともに元の木阿弥になってしまう企業はけっして少なくない。いくら制度を改善しても、経営幹部陣の価値観が変わらない限り、本質的には何も変わらないのだ。

さらに言えば、国が就労環境を対象にして認定制度を設ける必要があるのだろうか。就労環境に自信のある企業ならば、あえて国にお墨付きを与えてもらう必要はない。社員が自社を若者応援企業と認定すれば、それで十分である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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