中小企業が来春の卒業予定者の採用に苦戦している。
景気回復で大手企業が採用者数を増やし、しわ寄せを受けているためだ。数年前まで「氷
河期」と言われた就職戦線は様変わりしており、終盤戦にさしかかった時期にもかかわらず、十分な人数を確保できていない中小企業の経営者らは焦りを募らせている。
「仕事を覚えられるよう、丁寧に教えます」
大阪市北区で今月中旬に開かれた中小企業5社の合同就職説明会は、親身な対応をアピールする企業が目立った。ただ、参加した学生は10人程度。関係者は「この2倍の参加者数を見込んでいたのに」と表情を曇らせた。
大企業の多くは学生への内々定を出し終えている。6月以降に採用活動を本格化させた中小企業も、本来なら人材確保にめどが立ち始める時期だが、「売り手市場」のハードルは高い。
大阪市の洋菓子店運営会社の人事担当者は「2人採用したいが、その見込みが立たない。新卒が無理なら既卒でも中途でも、とにかく確保しなければ」と焦りを隠さない。大阪府内の食品関連の専門商社も、会社説明会の参加者が昨年の3分の1の10人以下に激減した。人事担当者は「今年は参加者が全く集まらない」と漏らす。(読売新聞 7月24日)
応募者にとって中小企業の魅力は何か。大手企業のように歯車とならず、若い時分から権限を与えられ、やりがいを持てる――これは昔からの謳い文句だが、いかんせん苦し紛れの方便で説得力に乏しく、虚しさを散布するだけである。
それよりも、経営者はどんな人物か、経営ビジョンはどうなっているのか、社会人としてどんな成長ができるのか、将来をワクワク期待できるようなロールモデルとなる社員はいるのか。
将来設計に何かしらトキメキを感じさせなければ、若者は振り向いてくれないのだ。自社の現在がパッとしなければ、将来を輝かせる以外にない。そのストーリーがどれだけ魅力的かは、ひとえに経営者の生き方にかかっている。
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