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人件費高騰からの人手不足による倒産が増加

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人手不足を背景にアルバイトやパートの賃金が高騰し、小売業や外食企業の収益を圧迫し始めている。主要74社の2014年2月期決算では人件費総額が7%増え、最近では突出した伸び率になった。売上高の増加率(約7%)に匹敵する。働き手が足りず、新規出店などに支障が出ているケースもある。
継続比較できる2月決算の小売業などを対象に給与や福利厚生などの人件費を集計した。この数年、人件費はほぼ横ばいで推移してきたが、前期に一気に膨らんだ。
集計企業では、7%増収に対して営業利益は2%増にとどまる。小売り・外食企業は接客など人手に頼る労働集約型産業の代表格で、賃金コストの比率が高い傾向がある。昨年から顕在化した人材不足や人件費増加のマイナスの影響が、業績面で表れてきた形だ。(日本経済新聞 6月20日)

人件費の高騰は新規出店の足かせになっているだけでなく、倒産の要因としも顕著になっている。東京商工リサーチによると、2014年1~5月の累計で人件費上昇が影響した倒産は9件。建設業が多く、貨物運送業やサービス業でも発生している。

人に関連した倒産は人件費高騰型だけではない。同社の調査では、14年1~5月累計で「後継者難」型の倒産が104件、「従業員退職」型の倒産が5件、さらに「求人難」型の倒産が5件発生した。

中小旅行代理店の社長は嘆く。「うちは大手のような給料は払えないので、中途採用の求人を出しても欲しい人材が応募してきません。しかも、良い年をした大人なのに面接をドタキャンしてくる例も結構ありますよ」

しかし、社員を採用しなければ営業活動をまかなえず、顧客を失いかねない。「とりあえず、つなぎの要員でもいいから社員を手当てしないとね」と、この社長は焦るのだ。シニア層ならいくらでも応募してくるのだが、この会社が欲しいのは伸びしろのある20~30代の人材である。どこかで折り合いをつけなければなるまい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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