病院や介護施設を運営する湖山医療福祉グループ(東京・中央)は2017年をめどに、千葉商科大学(千葉県市川市)の構内に特別養護老人ホームを開設する。介護分野への就職を望む大学生に現場体験の機会を提供し、将来の管理職として育てる狙い。
湖山グループは全国で特養やグループホームなどの施設介護と訪問介護を手掛けている。千葉商大から土地を賃借し、老人ホームやデイサービス、学生寮などを合わせた複合施設を建設して運営に当たる。着工に向けて年内をめどに、必要な手続きを終える方針。
特養での作業に必要な人材すべてを湖山が確保したうえで、現場の勤務を希望する学生を雇う。将来は湖山の介護施設に就職し、現場リーダーや管理職として働くことを期待している。(日本経済新聞 6月4日)
株式上場を狙う介護事業会社の社長に新卒採用の状況を尋ねたら「ご想像の通りです。応募が少なくて芳しくありません」。産業界全体で採用枠が拡大したことだけが要因ではない。
「介護業界に就職人気がない一番の理由は何でしょうか?」「夢でしょう」。高齢化の進行で介護市場が長期的に拡大していくことや、社会貢献度の高い仕事であることは学生も理解している。社長は「しかし、学生が将来にワクワク感を持てる仕事かどうか。これが問題なんですよ」と語った。
湖山医療福祉グループは先進的な経営を展開しているが、この取り組みは、在学中にメディアを通して伝播されるイメージに幻惑されず、現場で介護事業を理解させる効果を期待できる。介護職は、高齢化社会にリアルに貢献できる夢にあふれた職業である――その理解が広まることは、いまや社会的要請である。
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