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労働相談でパワハラが2年連続で最多

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厚生労働省は30日、労働者と企業のトラブルを裁判に持ち込まずに迅速に解決する「個別労働紛争解決制度」の2013年度の利用状況をまとめた。労働相談の内訳は、パワーハラスメントにあたる「いじめ・嫌がらせ」が5万9197件(12年度比14.6%増)で、2年連続で最多だった。全体の相談件数は24万5783件(3.5%減)だった。
同省は「職場でのパワハラは許されないという認識が広まり、相談する人が増えている」としている。
パワハラの具体例としては、正社員として入社した直後から上司の係長から殴る・蹴るなどの暴力を受けたり、体調不良で早退すると伝えたところ社長から暴言を受け、精神的に追い込まれて退職を余儀なくされたりした例などがあった。(日本経済新聞 5月31日)

自分よりも立場の弱い人に辛く当たるとか、あるいは他人を傷つけることに快楽を覚えるような輩はどこにでもいる。おおむね当人は悪気を自覚していないもので、だからこそパワハラを執拗に繰り返すのだ。

パワハラが増え続けている伝染病の流行と同じで、効果的な処方箋が提供されない限り、これかれも増え続けて組織を蝕んでゆく。
パワハラの撲滅を各企業の自浄作用に期待したところで、まずもって空回りに終わる。社長や経営幹部が加害者なら最初から無罪だし、そうでなくともセクハラと違って、犯罪性の認定が甘く、被害を訴え出た社員は人事上の不利益を被りかねない。

被害者から相談を受けた公的機関やNPOなどが、事実関係を調査したうえで企業名を公表すればよい。パワハラは人権問題である。人権問題に無自覚な企業は、社会的な制裁を受けなければ目を覚まさないだろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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