過労死や過労自殺の防止対策を国の責務で実施する「過労死等防止対策推進法案」が27日、衆院本会議で可決された。法案は今国会中に成立する見込み。
法案は超党派の議員連盟が提出。同日の衆院本会議には、家族の遺影を抱いた被害者の遺族ら約30人が傍聴。法案が可決されると抱き合って涙を流した。
記者会見した過労死防止基本法制定実行委員会の委員長、森岡孝二関西大名誉教授は「法制定で過労死は社会問題であるという意識が生まれる。法制定は極限まで広がっている過労死防止の出発点だ」と訴えた。(毎日新聞 5月27日)
年収1000万円超の専門職の労働時間緩和が法制化される見通しである。緩和対象の社員には、心身ともに無尽蔵が要求されるのか。
労働時間でなく成果に対して報酬が支払われるという専門職の位置づけは、それ自体になんら問題はない。だが、健康管理を二の次にしてよいはずがないだろう。労働時間の規制緩和を進めている政府の産業競争力会議は、日本医師会や日本弁護士連合会などから意見聴取をしなければ、規制緩和と過労死リスクが背中合わせになりかねない。
政府の思惑どおりに労働時間が規制緩和されれば(働かせ放題になった!)と曲解して、たとえば年収1000万円の社員に対して、2000万円や3000万円分の負荷を課す企業が登場しないはずがない。いや、すでにそんな企業はゴマンとある。過労死等防止対策推進法案との整合性が不可欠だ。
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