首都圏の中小企業で実業団運動部を創設する動きが広がっている。体力を求められる建設業や接客業では人手不足が深刻になっている。練習や大会に参加できる環境を整備。運動を続けられる職場環境を訴え、採用難の中でも一定の人材を確保する狙いだ。
建設会社の深谷組(さいたま市)は今年、硬式野球部を創設する。一般社員と同じように働き週2日程度、平日に夜間練習する。監督には社会人野球出身の社員が就く。2015年春卒業の高卒人材を10人、大卒を10人採用する目標で、数年後に部員を30人規模に増やす計画。年2000~3000万円の部活動費は会社で負担する。
創部を機に「野球を続けたい学生が就職したくなる」(深谷和宏社長)会社になり、早ければ都市対抗野球大会予選出場を目指す。(日本経済新聞 4月28日)
業績が悪貨すれば実業団運動部は真っ先に合理化の対象になるのが通例だが、これから運動部を創設するニュースに対して、後ろ向きの見方は慎もう。
運動部を創設すれば人材獲得にプラスになるだけでない。採用した運動部員が競技で活躍すれば、社内は元気づくだろうし、会社の知名度がアップして営業活動にはおおいに役立つはずだ。
運動部の創設を組織風土の改善に連動させる企業も出てくるだろう。上司の命令に即座に呼応して、服従して、一丸となって突き進む体育会体質への風土改善だ。多様性の時代とはいえ、組織運営の価値観に限っては、共通でなければ求心力が働かない。
それゆえに体育会体質が好まれるのだが、一方で思考停止状態をもたらしかねず、安直と言えばこれほど安直な嗜好性もあるまい。だが、それでも体育会好みの経営者はじつに多い。支配欲求の強いタイプの経営者にとっては、みずからの生理作用に心地よいのだろう。
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