中小企業庁が、後継ぎがいないためどれぐらいの会社が消えているか調査した。
年間7万社が消えている。30万人ぐらいの雇用が毎年消えている。
取引している大企業も日本に残る意味が小さくなる。
だったら外国に行ってしまおうということになる。
事業承継問題は日本という国が生き残っていけるかどうかという大問題を抱えている。
(日本経済新聞 4月9日)
あるメッキ会社を引き継いだ女性の場合、ラジオのディスクジョッキーをやっていて経営はまったくやっていなかった。
社員とあいさつし、自分がどんな人かを伝えることから始めて、1年で従業員に認められ、累積数十億円の会社が黒字企業に転換した。
事業承継はたやすくないが、覚悟と努力があればやりがいがある。
これは立教大学教授の山口義行氏が事業承継セミナーで行なった講演内容の一部で、大東建託の広告に掲載された。
後継者不在による廃業ほどもったいない経営事例はない。
社内に該当者がいない場合、公募すれば、いくらでも候補者は現われるのではないのか。
債務や株式の取得費用などの負担が重くのしかかる場合が多いが、もう一花咲かせたいと願望するシニア層ビジネスマンにとって、ワンポイントリリーフでならいけるかもしれない。
――だが、現実はそうはいかない。中小企業の経営者は余人をもって代えがたい人物でなければ、堂々と務まらないのだ。
商品・サービス開発、営業、経理、人事などすべての業務で社内ナンバーワンのオールラウンドプレーヤーでなければ、会社は十全に廻らない。
トップマネジメントのあり方として、盛田昭夫と井深大、本田宗一郎と藤沢武夫の関係がよく引き合いに出されるが、いずれも例外中の例外である。
夢想はできても、こんな出会いとは無縁であるのが中小企業経営者の現実だ。
一般論として、経営者が40代後半を迎えたら、後継者の目途をつけて育成計画に入るのがよい。
しかし「オレが、オレが」と我の強さでやってきた中小企業経営者は、なかなか代を譲る心境になれず、老年期まで一線でがんばって、後継者問題に悩んでしまうのである。
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