人手不足対策として期待が高まっているのが外国人の労働力だ。
外国人を最長3年、受け入れることができる技能実習制度を見直して、期間の延長や、実習後に帰国した外国人が日本に再入国し働けるようにする動きがある。
政府は人手不足が深刻な建設業に限り、東京五輪開催までの時限措置として、この制度の拡充を決めた。
もともと技能実習制度は、途上国の人材に日本で技術や技能を身につけてもらおうという国際貢献が狙い。
ところが、安い賃金で働いてもらえる制度、ととらえる企業がまま見られる。賃金の不払いや長時間残業を強いる例が後を絶たない。
このため政府は技能実習生の受け入れ拡大にあたって、不正行為のない企業や団体に限ったり、監視体制の強化にセットで取り組んだりする考えだ。(日本経済新聞 4月7日)
外国人労働者を雇用して人手不足を解消する手段は、建設業界に先立って介護業界で話題になりかけたが、その後、鎮静化している。
たびたび報道されるが、メディアが話題にしているだけで、現場の関心は決して高くない。ある社会福祉法人理事長はこう言い放ったものだ。
「外国人介護士は仕事に慣れた頃に貯金がたまって、国に帰ってしまうことをわれわれは経験ずみですからね。戦力になるかどうかという以前の問題じゃないですか」。
これはひとつの意見にすぎないと言えばそれまでだが、何より外国人介護士の数がまだ少ない。サンプルが少なすぎる。
2013年度の介護福祉士国家試験に経済連携協定(EPA)によって受け入れた外国人78人が合格した。合格したのはインドネシア人46人、フィリピン人32人。
合格率は36.3%で前年度に比べ3.5ポイント下がった。
それにしても、たった78人である。
言葉の壁を考慮すれば合格基準が高すぎるのではないかという意見もあるが、この数字では、それを云々する段階ではない。
どうすればよいのか。若者がワクワクするような職場環境をつくり出すことが王道である。社会貢献度の高さだけでは就職人気に結びつかない。
たとえばリクルート出身者が介護業界に続々参入すれば、状況は劇的に変わるかもしれない。
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