中小工場で働くイケメンをカメラマンが撮影し、インターネットで紹介する「ゲンバ男子」が大阪の中小企業の間で話題だ。佐川急便のドライバーの写真集で人気が出た「佐川男子」の製造業版といえようか。
大阪市の中小企業支援機関、大阪産業創造館が昨秋に始め、すでに32社の56人が登場した。「工場で働くイメージを変えていきたい」と山野千枝チーフプロデューサー。撮影に行くと一番喜ぶのは社長といい、若手の採用に力を入れる企業の参加が目立つ。(中略)
就職情報サービスのマイナビ(東京・千代田区)の調査によると、15年春に卒業予定の学生で大手企業を志望するのは全体の44.9%。14年卒と比べて3.7ポイント高く、2年連続で上昇している。一方、15年卒の学生の中堅・中小企業の志望者は50.6%と、14年卒と比べ3.6ポイント低下した。(日本経済新聞 3月31日)
今も昔も寄らば大樹の陰は変わらない。
いくら起業がクローズアップされても、みずから中小企業に飛び込む新卒は限られている。それが問題だと述べるつもりはない。
給与や教育制度などで有利な就職先を選ぶのは、ごく自然な行為である。
人数が多いぶん、将来の自分を投影したくなるロールモデルとなる社員も、大手企業のほうがはるかに多い。
景気が回復すれば、中小企業は採用戦線でまずます不利になっていく。
「大手と違って若いときから権限を与えられ、一人前の仕事ができる」というステレオタイプの採用メッセージでは、いまどきの学生に見透かされてしまう。
いや、それが苦しいメッセージであることは昔から見透かされていた。
直球勝負の肉声こそ人の心に届くのだ。
たとえば毎年4月1日に全国紙に掲載されるサントリーの広告に、作家の伊集院静氏が心に沁みる文を寄せている。
今年は「新しい道を踏み出せ。先駆者になれ。そうして誰もまだ見たことのない、まぶしい世界を見せてやろう。そのためには力が、汗が必要だ。やわらかな発想と強靭な精神を持って、ともに汗を流そう」と綴っている。
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