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SNSでの転職支援、企業側も低コストで活用

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交流サイト(SNS)を使った転職サービスが日本でも広がってきた。
フェイスブックなどの会員情報をもとに仲介企業のサイトに登録。職歴やスキルだけでなく、趣味や人脈も公開して自分にあった働き場所を探す。
民間企業の調査によると求人数は9カ月連続で過去最高を更新。
個人情報の管理や情報の慎重な見極めといった課題はあるが、幅広くオープンな新しい職探しの手法が関心を集めている。(中略)
こうしたサービスの多くは求職者の登録は無料。代理人の人件費などが不要なこともあり、企業側が支払う利用料も月々数万円で済むことが多い。大手の人材紹介会社の場合、採用が決まると社員の内定年収の3割相当を成功報酬として要求する例がある。(日本経済新聞 3月29日)

SNSによる就職活動が浸透すれば、人材紹介会社のあり方も変わらざるをない。すでに看護師紹介会社については日本医師会と日本看護協会が、過剰な転職誘導を問題視している。その過剰ぶりを、都内の民間病院看護部長が教えてくれた。
「入職して3カ月後ぐらいに紹介会社から本人にフォローの電話をかけてくるのですが、100%満足できる職場なんてないから、本人は何かしら不満を口にしてしまいます。すると、それを突破口にして『あなたにもっとふさわしい病院の求人が出てきた』というように、本人が転職したがるように仕向けてくるんですよ」。
おおむね入職して6カ月以内に退職したら、紹介料の全額や一部を医療機関に返還する契約になっているため、6カ月後に退職させるケースが多いのだという。人コロガシのような所業だ。元厚生労働大臣政務官で日本医師会総合政策機構の客員研究員、梅村聡氏は「非営利の医療の周辺で、営利企業がまとわりついていて、医療がロンダリングのような使われ方をしている」(『医療タイムス』2014年2月17日)と批判する。

先の看護部長によると「日本看護協会が各都道府県での転職紹介窓口の運営を検討している」というが、それだけでは不十分だ。医療界で紹介会社の信用格付けを行なって公表すればよい。真っ当な紹介会社以外は退出を強いられること必至である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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