国内約850のユニクロ店舗では現在、約3万人のパートタイマーやアルバイトが勤務している。このうち、学生アルバイトなどのごく短期に務める従業員を除く、約1万6000人を正社員に転換する計画だ。
これまでにも同社には、アルバイトやパートタイマーを正規社員として登用する仕組みはあった。かつて「パートタイマー5000人を正社員化」とぶち上げたこともある。だが従来の仕組みでは、正社員に転換した場合、フルタイムで勤務することが求められた。
しかし今回の取り組みでは、子育てや介護といった多様な事情で、不規則な勤務時間でしか働けないような従業員に対しても正社員化の門戸を開き、多様な働き方を認めたままで待遇を正社員化する。既に今年3月初旬から正社員化に向けてパートタイマーやアルバイトの面談を始めており、今後2~3年の間に移行を進めていく。(日経ビジネスオンライン 3月19日)
ユニクロの成長力は見事である。ブラック企業という世評など歯牙にもかけず、破竹の勢いで躍進を続けるのだろうと見ていた。ところが、そうでもないらしい。昨年春にさかのぼるが、NPO法人POSSE代表の今野晴貴氏のもとにユニクロから通告書が届いた。今野氏はブラック企業の被害にあった若者の労働相談を手がけている。
通告は、今野氏が著書『ブラック企業』に過酷な労働環境にある「衣料品販売会社X社」について記載したことに対してだった。通告書は今野氏の著書『ブラック企業ビジネス』に引用されているが、その一部を紹介する。
<この書籍において貴殿が適示されている「衣料品販売会社X社」なるものが通告人会社らを指すものであることは、(略)明らかです><通告人会社らに対する虚偽の事実の適示や違法な論評などを二度となされませんよう警告申し上げます>
影響力を持つ今野氏にプレッシャーをかけてきたのだ。今野氏に確認したところ、その後はユニクロから何のメッセージも届いていないという。
急成長の持続と過酷な労務環境は表裏一体で、いわば陰陽の関係のようなものだ。だが、従業員が心身を患うなどの犠牲を出すことはアウトである。
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