キリンやグーグルなど東日本大震災の被災地で復興支援を行う4団体は6日、リーダーとなる人材の募集を始めた。企業で管理職を経験した人などが候補で、水産業や教育などの支援プロジェクトを主導する。管理職の転職サイトを運営するビズリーチ(東京・渋谷)が同社のウェブサイトに専用ページを設けて協力する。
共同で募集するのはキリン、グーグルが支援する各団体のほか、被災自治体などを支援する一般社団法人RCF復興支援チーム(東京・港)、復興庁事業の「WORK FOR 東北」。4団体はそれぞれ被災地で復興支援プロジェクトを進めているが、単独では管理職級の人材確保が難しかった。
各プロジェクトで1~2人を公募する。管理職の経験を生かし、福島県双葉郡の市町村で計画する中高一貫校の設立プロジェクトや、水産物のブランド化事業などを統括してもらう。被災地や東京で数年間の勤務を想定し、年収は400万円程度を確保したいという。(日本経済新聞 3月7日)
この取り組みを契機に、これまでにも増して、多くの業界で培った蓄積が被災地に投入されることを願いたい。
ハーバード大学教授のロバート・カッツは、経営に必要なスキルとしてテクニカル・スキル、ヒューマン・スキル、コンセプチュアル・スキルを挙げ、組織のトップにもっとも必要なのはコンセプチュアル・スキルだと説いた。復興支援事業のリーダーにも、これらのスキルを保有する人材が採用されるのだろう。
いま、被災地では“見えない問題”が生じているのだという。今年2月、都内で開かれたフォーラムで、岩手医科大学の助教は「被災地には、社会のなかで自分の居場所を喪失した見えない孤立があります。これは見えない被害です」と報告した。居場所の喪失とは、いわば地域の喪失のようなものだ。その回復もまた新たな課題である。
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