ユニ・チャームは2015年度から、妊娠・出産の予定がある女性が新卒採用の選考に合格した場合、最長30歳まで入社資格(内定)を保有できる制度を発足させる。同社でのキャリア形成を志向していながら、妊娠・出産予定があるために志望を躊躇したり、不安を感じている女性に対してキャリア形成のチャンスを用意する。
「Fresh-Mom Recruitmen制度」と名づけたこの制度の導入目的について、同社は「出産・育児による就業制限が一段落した環境の下で業務に取り組むことで、短期間での成長が期待できる。一例として、35歳で自身のドメインとなる専門性を身に着け、発揮してもらうキャリアモデルとなり得る」と説明している。(ユニ・チャーム ニュースリリース要約 2月27日)
女性社員へ支援策として、ユニ・チャームの様子を見ながら同様の制度を発足させる企業が追随するだろう。働く女性をどのように支援するか。支援の緊急性からすれば、まずもって保育園に入れない待機児童の解消だ。しかも3歳児未満の場合は保育園に入園できたとしても、かなりの高収入世帯でない限り、保育料の負担は重い。子供が2人以上なら、なおさらである。
この窮状の支援に取り組む志にあふれたクリニックがある。東京都立川市の鈴木慶やすらぎクリニックで、院内の託児所を住民に開放している。もともとは女性職員の子供を預かっていたのだが、いまでは児童の大半が一般住民の子供だ。15人近く預かっているという。これだけでも立派な地域貢献だが、もっと感服したのは料金で、これが1時間あたり300円。しかも食費込みの料金だ。一時預かりも1時間あたり300円である。
立川市の3歳児未満の保育園児童保育料は、世帯主の月間所得が21万円未満で第一子が月3万7100円、第二子が1万8550円。所得が25万円未満では、それぞれ4万500円、2万250円である。これが民間の託児所となると、0歳児が約5万円、3歳児で約4万円、これに毎日の食費が加算される。一時預かりの場合は、1時間につき1000円程度が相場だ。
鈴木慶やすらぎクリニックの託児所に子供を預ける家庭は、さぞかし助かっているはずだ。この託児所には補助金が支給されないため、運営は持ち出しかもしれない。それを呑み込んだうえで、鈴木慶やすらぎクリニックは地域医療から地域福祉へと活動領域を広げ、街づくりの枢軸を担っていくのではないだろうか。
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