求人が求職者数を上回る職種に広がりが出てきた。
職業別の有効求人倍率(実数、パート含む)で1倍以上となったのは37職種と、前月から2つ増加。
全体での比率は6割を超えた。とくに建設関連で人手不足が深刻だ。 雇用の需給バランスがとれないままだと、景気回復の足を引っ張る可能性もある。厚生労働省がまとめた1月の有効求人倍率を59の職業分類別にみると、求人が仕事を探している人より多いことを示す1倍以上は計37職種(63%)。前月の35職種に、生産関連事務(1.05倍)、機械検査(1.04倍)の2職種が加わった。
人手不足が目立つのが、震災からの復興や東京五輪に向けた工事が増えている建設関連。
建設(3.01倍)や土木(2.72倍)の作業員はもちろん、建物の骨組みにあたる躯体(くたい)の工事が7.32倍、電気工事が1.97倍と高い。
建築・土木・測量の技術者も3.96倍と、あらゆる職種で間に合っていない。
建設以外でも、小売業などの販売職や営業職が1倍を超えている。労働環境が厳しい飲食や介護の関連職種は、2倍前後で高止まりしている。
(日本経済新聞 3月2日)
介護業界の人手不足はすでに現場を疲弊させているが、これからはもっと深刻になっていく。
厚生労働省によると、現在の介護職は149万人だが、団塊世代が全員75歳になる2025年には250万人が必要だという。
むこう10年で100万人を雇用しなければ、高齢者のケアができないのだ。
この介護業界、相変わらず採用に苦労している。
その理由は「マスコミがネガティブな報道を繰り返すからだ」と見る業界関係者が相当多い。
だが、ある通所介護事業会社の社長は、私の取材に「キャリアアップの道筋を作ってこなかった介護業界に問題があります。
新卒学生にとって成長できるというイメージが見えない業界なんです」と反論した。
問題は業界の風土かもしれない。同じ介護業界でも株式会社からは聞かれないが、社会福祉法人からは、しばしばこんな発言が聞かれる。
「介護は公費で成り立つ福祉なのだから他の産業と違う」。現実はどうだろう。
フランチャイズ、M&A、株式上場などにもまれながら介護業界は産業化しているのだ。
福祉かビジネスかの価値観論争をオシマイにして発展に向かうことが高齢社会のためである。
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