電機大手が新卒採用の拡大に動く。
シャープは5日、2015年度の新卒採用を前年度比3倍の300人にすると発表した。
三菱電機も5日、15年4月に入社する新卒採用を前年比50人増の1170人とすると発表した。技術系人材を中心に採用し、事業基盤を強化する。シャープは大学院を含む大卒採用を2倍の200人とし、うち4分の1程度を女性にする方針。健康医療分野など新規事業に重点的に配置し、構造改革を一段と進める。
大卒採用計画の内訳は技術系が130人、事業系が70人。高卒の採用も3年ぶりに再開し、100人の確保を目指す。
300人規模の採用は273人だった12年度以来。同社は13年3月期まで2期連続で巨額赤字を計上、採用も絞り込んでいた。
液晶事業の損益改善などで14年3月期は最終黒字となる見込み。大卒技術系の6割を健康医療やロボット関連事業などに振り向ける。(日本経済新聞 3月5日)
採用数を拡大できるようになったことは喜ばしいニュースだが、たぶん(大量リストラを挙行した舌の根も乾かないうちに・・・)と眉をひそめる向きも少なくあるまい。
構造改革とは社員を切っては入れて、切っては入れてのダッチロールをともなって取り組むものなのか。
企業経営の目的とは、ひとえに、社員を尊重ながら取引先や顧客を含む社会全般に尽くすことであるはずだ。
ところが、苦渋の選択であるはずのリストラが、たんなる収支の帳尻あわせとして乱用される気運が高まっている。
今年4月からは労働移動支援助成金の支給対象が大企業にも広がる。その背景にあるのは、現政権が日本再興戦略で打ち出した「行き過ぎた雇用維持型から労働移動支援型への政策転換(失業なき労働移動の実現)」である。
この制度を利用するのは、苦楽をともにした社員にやむなく退職してもらうという苦渋の選択をする企業ばかりではないだろう。心ない企業にとって、この制度はリストラ支援策として垂涎の的に違いない。成熟産業から成長産業への労働力移動で憂慮すべきは、制度の乱用による人心の荒廃である。
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