2018/04/19
転職が活発になっている。IT(情報技術)分野などで求人が増え、民間企業の調査では、17年度は転職者の求人倍率が過去最高となった。転職後の賃金が1割以上増えた人も3割と、最も高い水準にある。景気回復による雇用環境の改善は、新たな就業者の増加から働く人の移動へと進む。成長分野に人材が移る動きが加速すれば、日本経済の生産性は高まる。
今の転職市場は企業による求人が職を求める人を上回る状況だ。リクルートキャリア(東京・千代田)によると、17年度の転職者の求人倍率は1.86倍。リーマン・ショック直後にあたる09年度の0.87倍を底に上がり続けている。
前職より高い賃金を手にする転職者も増えた。厚生労働省によると「転職で賃金が増えた」人の割合は14年から35~37%で高止まりし、「賃金が減った」人の割合を上回り続けている。リクルートキャリアの調べでも、17年度の「前職より賃金が1割増えた」との回答は29.9%と5年連続で上がり、02年度以降で最も高い。
(日本経済新聞 4月11日)
人材が成長分野に移動するのは今にはじまった現象ではないが、転職によって賃金が増えるケースが多くなったのは、人手不足による求人ニーズの上昇だけでなく、紹介会社の介在が大きいのではないか。
紹介会社は、市場価値の高い登録人材だけでなく、凡庸な人材に対してもなんらかの価値をつくり上げて、前職プラスアルファの賃金を提示して売り込んでくれる。
求人企業の姿勢も変わった。かつては求職者の足元を見て買い叩くという姿勢が散見され、あるいは「当初はこの額で我慢してほしい。成果が出たら見合った水準に引き上げるから」といった空約束や、入社時に確認した処遇が履行されないというハシゴ外しも横行していた。
だが、売り手市場にあって、そんな姿勢では悪評が広がり、求職者から見向きもされなくなってしまう。
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