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女性管理職比率、市場評価に影響 18%のOLC、PBR11倍

非財務情報が市場の評価につながりやすくなっている。2023年3月期の有価証券報告書(有報)で女性管理職比率が高い企業では、PBR(株価純資産倍率)が高い傾向があることが分かった。同比率18%のオリエンタルランドのPBRは約11倍だ。開示した情報量もPBRに影響しており、持続的な企業価値向上に不可欠な要素になっている。
あずさ監査法人が上場する3月期企業1800社超の有報を分析した。女性管理職比率など一部データは対話型生成AI(人工知能)「ChatGPT」を使って抽出した。女性管理職比率を含めた人的資本、気候変動対応などサスティナビリティーに関する取り組みは、23年3月期の有報から開示が義務づけられた。
PBRとの関連性がみられたのが女性管理職比率だ。同比率は、PBRが1・5倍以上の478社で平均14・2%であり、全体平均の9・3%より高かった。逆にPBRが1倍未満の1088社は、平均が7・2%だった。
男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の比率を示す「男女賃金差」でも同様の傾向が見られた。
(日本経済新聞 7月22日)

女性の戦力化が業績向上に寄与することは、かなり以前から指摘されている。
経済産業省が2016年に発表した「ダイバーシティに関する各種調査」では、「ジェンダーの多様性および文化面の多様性を含む企業は、それぞれ7%と15%ほど高い確率で、業種平均よりもすぐれた業績を達成する傾向が見られる」と報告されている。
英国ビクトリア朝時代の美術批評家ジョン・ラスキンは「進歩は、均一性を維持することからではなく、多様性の中から選択することでもたらされる」と説いているが、これは企業経営にも当てはまる。
 多様性が有効に働くには何が要件なのだろうか。
経産省の調査によると、多様性が有効性を向上する状況の要件は「多様性の認識 」「仕事に関連する能力でメンバーを選考」「相互の尊重」「等しい権限」「上位の目標を追求」「外部からのフィードバック」である。
一つひとつはシンプルだが、すべてをクリヤして業績向上に結び付けるのは容易でない。精緻なマネジメントが問われてくる。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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