2025/03/20
人事院は10日、2025年度春の国家公務員採用試験で、中央省庁の幹部候補となる総合職(大学院修了・大卒程度)の申し込み状況を発表した。申込者数は前年度比11.6%減の1万2028人。3年連続の減少で、現方式となった12年度以降で最少となった。
専門試験を課さない秋試験への分散が進んだとともに、民間企業の採用活動の早期化や初任給の大幅引き上げが影響したとみられる。
女性の申込者数は5329人。全体に占める割合は44.3%で、過去最高となった。試験区分別では、法律や経済など法文系が12.0%減、理工系が10.3%減だった。
(時事通信 3月10日)
国家公務員の志願者が減っているのは、ひとつは年功制がつづいているからだろう。課長就任が40代に入ってからという人事に、若者は合わせてくれない。まして学生時代に起業して衆目を集めたり、財をなしたりする人が珍しくなくなった。その躍動に比べて、公務員の人事はポテンシャルを封じ込めているように見えるのである。
もうひとつは給与水準だが、これには誤解もあるのではないだろうか。国家公務員の給与は安いというのが昔からの評判だが、国家公務員の給与を民間企業と比較すると、大手企業よりは低いが、中小企業よりは高く、いわば中堅企業の水準である。けっして安くはない。
この評価に対して「仕事がハードな割に安いので割に合わない」という反論があるが、働き方改革を進めてもなお、目標管理制度のもとに民間企業の仕事は相変わらずハードであり、どちらがハードなのかは一概に比較できないだろう。
では、なぜ国家公務員の給与は安いといわれるのか。比較する対象が、大学時代の同級生が多く就職する東証プライム上場企業や外資系企業だからである。たとえば事務次官の年収は約2000万円だが、東証プライム上場企業なら部長クラスでこの水準に達し、専務や副社長で1億円に届くケースが多い。
国家運営という民間企業よりも上位の立ち位置で働いているのに、外資系企業はともかく、東証プライム上場企業よりも低いのは受け入れがたいという心情に傾くのだろう。国家公務員に就く人は、そもそも収入ではなく政策立案によって国家国民に貢献するという志を抱いているが、給与所得者である限り、他の職業との比較で損得を考えてしまうのである。
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