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武田薬品で希望退職680人、グローバル最適化や構造改革に伴い国内募集

武田薬品工業は3日、国内の従業員を対象に希望退職者の募集を行った結果、2月28日付で計約680人が退職したと発表した。退職金を積み増したほか、希望者には退職後も転職活動支援を行うとしている。
 希望退職の募集は昨年12月に行った。国内のがん領域以外の営業部門と研究開発部門の一部で、2025年2月末時点で勤続3年以上の従業員が対象。人数に上限は設けなかったが、営業部門で約570人、研究開発部門で約110人が退職した。
 同社は昨年5月、グローバルで人員の最適化や調達コストの削減といった構造改革を行うと発表。米国でも人員削減を実施する方針だ。希望退職の費用も含めて、24年度に1400億円を計上する。
(読売新聞オンライン 3月3日)

武田薬品工業は従業員の早期の退職と転進を支援する「フューチャー・キャリア・プログラム」の運用によって、なかば希望退職を制度化している印象だ。
2020年に希望退職を募集したときには、「これまでにも国内ビジネス部門の持続的な成長を実現するために、そして、一人ひとりの従業員が充実したキャリアを築くことができるよう、終身雇用を柱とする日本型の雇用システムからの脱却を図ってきた」と述べている。
さらにプログラム実施の背景について、次のように言及している。
「国内ビジネス部門の変革期に際し、新しい能力を積極的に身につけてチャレンジしていきたいという従業員がいる一方で、現在までに獲得してきた能力を生かして活躍できる環境に身を置きたいという従業員がいることも想定している。従業員が選択するいずれの価値観も尊重すべきと考えており、自らの生涯設計に基づき早期の退職と転進を希望する従業員を支援する」
経営環境は変われば必要な人材スペックも変わるが、ジョブ型人事の普及にともなって希望退職制度を実施する企業も増えるだろう。ただ、数年分の生活をまかなえるだけの割増退職金が用意されないと社員は応募しないのではないのか。黒字リストラを行なえる企業は限られている。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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