2025/02/25
就活セクハラの防止対策が、2026年にも男女雇用機会均等法上の正式義務になる見込みだ。就職活動中の学生など求職者の3分の1が被害を経験している。就活生と企業の間に雇用関係がないことからこれまでは労働法の保護対象から外れていたが、企業は面談のルール作りや相談窓口の設置が必要となる。怠ってセクハラを放置すれば法的責任を問われかねない。
「頭をなでられ『かわいいね』と言われた。終電の時間が迫っても、なかなか帰してくれなかった」。現在自動車メーカーに勤務する女性(23)は大学3年のとき、大手電機メーカーの30代男性とOB・OG訪問用のマッチングアプリで知り合った。
オンラインでやりとりするうちに「飲みに行こう」と誘われた。JR恵比寿駅(東京・渋谷)で待ち合わせ、居酒屋を2軒はしごした。女性は「OB訪問をするとエントリーシートが必ず通ると聞いていたため、断りにくかった」と振り返る。駅まで走って事なきを得たが、「就活生の弱い立場を利用された」と今でも悔しい思いが残る。
厚生労働省の23年度の「職場のハラスメントに関する実態調査」によれば、採用活動に一環であるインターンシップで30%の学生がセクハラに遭った。
(日本経済新聞 2月17日)
国が検討している法改正は男女雇用機会均等法に就活生へのセクハラ防止措置を義務化する条文の追加などだが、企業が防止措置を講じても、加害者に懲戒処分を下さない限りセクハラはなくならない。社内でセクハラ防止のガイドラインを策定したり、研修を重ねたりすれば一定の効果は出るだろうが、撲滅には至らないだろう。
そもそも社内でのセクハラは処分されても、社外に対するセクハラになると軽視される風潮に問題がある。就活生にセクハラを犯す、おそらく社員も社内で愚行に走ることはないのではないのか。だが企業名とセクハラの事実関係が公表されれば、加害者が特定されて、被害者への謝罪や社内処分を行わざるを得ない。
さらに防止策として女子学生には女性社員が面会する規定を設け、男性社員が面会するときは女性社員の同席を義務付ける規定や、面会時間を日中に限定する規定なども必須である。
売り手市場でも買い手市場でも学生の立場は弱い。大学側も学生を「採用していただく」立場である。加害企業に毅然と迫れるだろうか。この実態を踏まえて、就活セクハラの相談を受けて加害企業に抗議のうえ、問題解決を図る組織が必要だろう。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。