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バンダイ、シニア社員の年収6割上げ 新卒初任給は30万円台に

 玩具大手のバンダイ(東京)は12日、61歳以上のシニア社員(定年再雇用社員)の年収を従来水準に比べて、平均で58%引き上げると発表した。
 物価高騰への対応や働く意欲の向上につなげるため、4月から報酬制度を改定する。  
従来の制度では、定年再雇用後は給与が大きく下がっていた。同社によると、社員によっては再雇用前の水準を維持できるよう、給与の算定方法などを見直す。  
新卒初任給も従来の29万円から30万5000円に引き上げる。部長職など一部を除く社員の給与についても月額1万5000円増額する。
(時事通信 2月12日)

パーソル総合研究所の調査によると、60代前半・後半とも継続勤務者の収入は400~700万円未満がボリュームゾーンで、 転職者のボリュームゾーンは200~400万円未満である。シニア世代の転職でも年収がアップする時代になったが、60歳を過ぎれば戦力ダウンと見なされるのだろうか、おおまかに年収は半減する。
収入だけで仕事を判断すれば、バンダイの年収6割引き上げにみるように、継続勤務を選んだほうが得策だ。慣れ親しんだ仕事をつづければ、期待されるアウトプットも出しやすい。
ただ、定年を契機にこれまでと違う分野への転身考える人も多い。転身といってもチャレンジというような気張った選択ではなく、一度やってみたかった仕事であるとか、通勤時間が短くなるとか、あるいは勤務時間を調整しやすいなどの理由で異分野に進んでいるようだ。収入の大幅ダウンは覚悟のうえだが、生活設計の目途がついていて、稼ぐことにさほどの重きを置かなくてもよいのだろう。
 また同じ調査で、60代前半・後半とも半数以上は「昇給・昇格、賞与査定なし」という現状も報告された。昇給・昇格・賞与査定はモチベーションの有力な原動力だが、定年という区切りを過ぎれば、上昇志向はおのずと薄れるのが自然だろう。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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