2025/02/19
看護師、介護士ら医療・介護現場で働くケア労働者の低過ぎる賃金の改善を求め、日本医療労働組合連合会(医労連、加入人員数約16万人)は、全国の3000か所以上の病院・診療所等に呼び掛け、3月13日に全国統一ストライキを行うことを決めた。
2月10日には医労連幹部が東京都内で記者会見を開き、ストライキを行わざるを得ない医療・介護現場のひっ迫した実情や、ストライキの実施方法などを語った。
記者会見で医労連の佐々木悦子中央執行委員長は、看護現場の実態調査を紹介するとともに、危機感を募らせた。 医労連が全国で行った「看護職員の入退職に関する実態調査」(昨年4~5月)によると、調査した32都道府県・125施設のうちの約7割(67.2%)にあたる84施設から、看護職員が「充足していない」との回答があったという。
さらに、看護職員が不足している医療機関の半数(51.2%)が「患者サービスの低下」につながると回答している。
こうした状況に佐々木委員長は、「(医療現場から)看護師の離職が止まらない、という声を聞く。離職を止めて人材を確保しなければ病棟閉鎖や病棟数の削減が進み、地域住民が必要な時に必要な医療を受けることができない状況となり、医療崩壊につながる」と訴えた。
(弁護士JPニュース 2月10日)
この春以降、厚生労働省の中央社会保険医療協議会で2026年度診療報酬改定の議論がスタートする。24年度改定の焦点は賃上げ財源の確保だったが、医療職の賃上げ率は他産業に比べて低いという理由で、26年度改定までの期中に処遇改善の手当が必要だという議論が当初から沸騰していた。
引き続き26年度改定の焦点も賃上げ財源の確保になるだろうが、他産業の賃上げ率が勢いを増しているだけに、今年末に改定率が決定したのち、他産業との比較で不満が噴出するのではないだろうか。
この課題にひとつの視点を投げかけたのが米国の哲学者マイケル・サンデスである。日本経済新聞のインタビュー(1月18日付け)でこう語っている。
「報酬が貢献の尺度だという思い込みを払拭すべきだ。ヘッジファンドマネジャーやウォール街の銀行家が高校教師や看護師の5000倍の貢献をしていると言う人はまずいないが、現に極端な報酬格差がある。人々の社会への貢献をいかに測るか道徳的に判断すべきところ、私たちは市場に委ねてしまっている」
「新型コロナ渦で、私たちは倉庫作業員、食料品の店員、介護士、保育士、配達員らを『エッセンシャルワーカー』と称賛した。社会や経済、公共の利益への貢献を測る尺度を巡る議論のきっかけになる事象だったが、議論は起きなかった」
どんな議論を展開すればよいのか。その論点も本人に聞いてみたい。
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