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男性国家公務員の育休取得率52% 過去最高も半数超が1カ月以下

内閣人事局は28日、2023年度の国家公務員(一般職・特別職)の育児休業の取得状況を発表した。男性の育休取得率は52.1%で、前年度を8.1ポイント上回り、04年度の調査開始以降で最高となった。
23年度中に男性職員1万1089人に子どもが生まれ、5781人が育休を取得した。省庁別の取得率は、文部科学省(97.6%)や厚生労働省(97.2%)、こども家庭庁(92.3%)などが90%を超えた一方、外務省(42.3%)や防衛省(25.2%)の低さが目立った。育休の取得期間(一般職)は「2週間以上、1カ月以下」が46.2%で最多。2週間未満も含めると1カ月以下の取得が半数超を占めた。  
政府は20年から、子どもが生まれた全ての男性国家公務員が1カ月以上をめどに育休を取得することを目標にしている。内閣人事局の担当者は「各省庁への広報や周知の活動に引き続き取り組む」としている。厚労省の調査では、22年10月からの1年間に育休を取った民間企業の男性の割合は30・1%だった。  
内閣人事局はこの日、女性国家公務員の登用状況(24年7月時点)も公表。局長や審議官などの「指定職」相当の1032人のうち女性は54人で、割合は前年比0.5ポイント増の5.2%だった。
(朝日新聞デジタル 1月28日)

国家公務員の立ち位置は国民に仕える「公僕」だが、個人としては民間人と同じ生活者である。処遇や労働環境も民間企業と同等であるべきだ。
令和6年人事院勧告・報告は、国家公務員の育児休業法の改正について「民間労働法制の施行から遅れることなく実施」と明記してしたうえで「民間労働法制の内容も踏まえ、子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置を拡充 」と方針を打ち出した。
実施される措置は①1年につき10日相当、1日の上限時間数なく育児時間を取得できるパターンの選択が可能② 非常勤職員の育児時間について、対象となる子の範囲を小学校就学前の子に拡大。
この勧告・報告内容について、川本裕子人事院総裁は記者会見で次のように語った。
「若手職員の離職は増加傾向にあるほか、一般職試験の申込者数は減少が続くなど、国家公務員の人材確保の現状は依然として厳しい状況にある。実務の中核を担う中堅職員は少なく、このままでは、公務を支える職員が質・量ともに不足し、行政サービスの維持が困難となる懸念もある」
男性の育休取得率は52.1%で、前年度を8.1ポイント上回り、04年度の調査開始以降で最高となったことは、生活者としての国家公務員を支える環境が整いつつある兆候だ。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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