2025/02/04
連合の芳野友子会長は24日、報道各社の共同インタビューに応じた。2025年の春季労使交渉(春闘)について「24年を上回る賃上げを目指す。中小企業の賃上げ率が全体を上回り、格差是正が進むことを期待したい」と述べた。政府に対して価格転嫁促進の取り組みを求めた。
連合は25年春闘でベースアップ(ベア)と定期昇給(定昇)を合わせた賃上げ率の目標を「5%以上」としたうえで、特に中小では「6%以上」を掲げている。24年は全体の賃上げ率が33年ぶりに5%を超えた一方、中小は4%台にとどまった。
経営基盤が不安定な中小で賃上げを進めるには、価格転嫁による原資の確保が欠かせない。「個々の企業努力には限界がある」(芳野氏)と指摘し、供給網全体での適正取引の呼びかけや、消費者に対する価格転嫁への理解促進が重要だと訴えた。都道府県ごとに行政と労使の代表が集まる「地方版政労使会議」のかつようにも力を入れるとの考えも示した。(日本経済新聞 1月25日)
「人財尊重社会における経済政策にとって、最重視すべきは賃上げ」「賃上げこそが成長戦略の要」――石破茂首相は1月24日に行なった施政方針演説で賃上げを強調した。
この演説で石破氏は「33年ぶりの高水準の賃上げとなった昨年の勢いで、大幅な賃上げを促すとともに、最低賃金を着実に引き上げ、2020年代に全国平均1500円という高い目標に向かってたゆまぬ努力を続けることにより、賃金は据置きで動かないという縮み志向を過去のものとする」
中小企業の賃上げで大きな壁になっている価格転嫁にも言及した。
「賃上げができるよう、多くの中小企業に利益を上げていただくためには、取引の上流から下流まで、適切な価格転嫁や生産性向上を実現することが重要。下請法の改正法案を提出するとともに、自治体等の官公需での価格転嫁を促進する」
価格転嫁対策について、中小企業庁はこの1月21日、新たな取引適正化対策を発表した。
たとえば取引の頂点に立つ企業に対して、各事業所管大臣が、直接の取引先のさらに先まで考慮した価格決定や、 それが隅々まで伝わる情報発信を要請する。あるいは下請法改正と執行強化として、「協議に応じない価格決定」などの禁止を検討する。「下請Gメン等が芳しくない取引実態を把握した場合には、迅速に注意喚起する」行政指導にも着手する。
価格転嫁は法的措置を取らない限り、実現しないだろう。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。