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育成就労制度の運用あり方原案 地方企業に多くの受け入れ枠を

専門性のある外国人材の確保に向けて施行される育成就労制度について、政府は、運用のあり方の原案をまとめました。都市部への人材の集中を防ぐため、地方企業などには、より多くの受け入れ枠を設けるなどとしています。
人手不足も背景に、再来年までに施行される育成就労制度は、介護や建設、農業などの各分野で外国人材を受け入れ、原則3年で専門技能を身につけてもらうもので、政府は、このほど運用のあり方の原案をまとめました。
 それによりますと、比較的賃金が高い都市部への人材の集中を防ぐため、優良な環境にあるという条件のもと、地方企業などには、より多くの受け入れ枠を設けるとしています。
 そして、外国人材の日本語教育について、基本的なレベルを習得していない人には、就労開始前に100時間以上の講習を行うほか、就労開始後もさらなる向上を図るため、教育の機会を3年間で100時間以上、設けるとし、費用は、受け入れ側が負担するとしています。
 また、多くの外国人が、母国の送り出し機関などに支払っている手数料について、過度な負担にならないよう、日本で得る月給の2か月分を限度とするしくみを設けることなども盛り込まれています。(NHKNEWS 1月23日)

 技能実習制度の欠陥を補って外国人材の定着をめざす育成就労制度への期待が、産業界では高まっているようだ。
 経済同友会は「新たに創設される育成就労制度の施行に向けた意見」として、従事可能業務の拡大を求めた。技能実習制度で従事が認められていない職種・作業が育成就労制度へ改正後も従認められなかった場合、各業界・企業にとってエッセンシャルワーカーの確保が果たされない懸念があることを指摘した。
 解決策として「エッセンシャル領域における人手不足を解消する観点及び、当該外国人材の効果的な育成を促進する観点から、政府は、各業界の申し出を踏まえ、育成就労の在留資格を有する外国人材が従事可能な業務を拡大するなど、不断の見直しを行うべきである」と提言した。
 生活者の観点で提言をまとめたのは国民生活産業・消費者団体連合会。さる1月20日、鈴木馨祐法務相に「生活者としての外国人の受入れ体制」と題する要望書を手渡した。要望内容は①支援計画の義務化と講習の拡充②日本における生活適応試験の導入と試験の透明化③中小企業や協力する市民団体への支援④監理支援機関許可条件の厳格化⑤外部監査人の設置要件強化⑥手数料の透明化と手数料負担の軽減――など。
 技能実習制度で頻発した人権問題の再発防止に重点を置いた提言である。 

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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