2025/01/15
森永乳業は全社員を対象とする副業制度を始めた。社外での雇用契約を伴う副業も可能で、管理職は月100時間、組合員は月60時間までの副業を認める。社員のスキル獲得や人脈の拡大によるイノベーションの創出と、柔軟な働き方による職場の活性化を見込む。
試用期間を除き、非正規社員や嘱託社員を含む約4200人が対象。新入社員など一部の社員は休日のみ適用される。副業終了時刻から翌日の勤務開始時刻までの間隔は8~10時間空ける。事業所ごとに定められた「勤務間インターバル」の時間を確保して兼業による心身の負担が重くならないようにする。
副業を解禁する企業は増えているが、個人事業型や業務委託型といった雇用契約を伴わないものが多い。雇用先が2社になることで、通算の労働時間の管理などが必要となり、労務の負担が増えるためだ。森永乳業は雇用型の副業も含めたことについて「自由度の高い精度にすることで社員のキャリアの自律を促進したい」としている。
(日本経済新聞 12月30日)
副業を解禁するどころか、副業を義務付けている企業もある。オンラインショッピングや専門家マッチングを展開するエンファクトリー(東京都千代田区)では、「専業禁止!!~生きる力、活きる力を身に付ける」という方針のもとに、全社員が副業を行っている。
副業の例は、経済産業省の中小企業向け補助金・支援サイト「ミラサポPLUS」が紹介しているが、防災の専門家、地域活性コーディネーター、犬用の手作りグッズの制作者、WEBプランナーなどである。
社員が副業に取り組んだ結果、同サイトによると①当事者意識や経営者意識の醸成②従業員が社外でもビジネスに携わることで、当事者意識や経営者意識が育まれた③残業の減少と退職後のつながり④ビジネスや生産性を意識するようになるのと同時に残業時間が減った⑤退職した社員ともポジティブな関係性を維持できている⑥オープンイノベーションの誘発⑦外部との事業機会などを誘発する効用があった――という成果が認められたという。
森永乳業は副業制度の導入目的に「新たなスキルの獲得」「専門性の向上による社員の成長」「人脈拡大や価値観の多様化によるイノベーションの創出」「柔軟な働き方の実現による職場の活性化」「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を掲げている。
組織に独自の企業文化が浸透すればムラ社会に転じやすく、社員は閉鎖性と排他性という通弊に拘禁されがちだ。この通弊を除去するには、副業も含めてNPO活動や地域活動など社外活動が有効だ。むしろ必須ではないのか。
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