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SOMPOケア、2025年4月 処遇改善(第五弾)を実施

SOMPOケア株式会社は 2025 年 4 月、処遇改善(第五弾)を実施する。当社は、介護 業界で働く職員の働きがい(働きやすさ・やりがい)向上を目指して積極的な人的資本投資を行っており、今回は19 年10月、22 年4月、23年10月、24年4月に続く「第五弾」の大規模処遇改善となる。
その投資規模は 年間約 14 億円を予定しており、第一弾からの累計では年間 55 億円に至る。今回の処遇改善による介護職 の賃上げ水準は3.3%、第一弾からの累計では20.6%の賃上げである。
 「未来の介護」への進化が順調であることを処遇へ還元し、「もっと“働きがいを感じる会社”へ」を着実に実現 していくために、「働きがい向上手当」を新設し、全職種全職員(社会保険未加入者を除く)に平均7,800 円を支給するとともに、賞与支給額を4%引き上げる。 
今回の対象者は約1万6000 人。代表的な職種である介護職の賃上げ水準は、平均で3.3%である。処遇改善第一弾からの累計では、介護職平均で 20.6%、介護職リーダー(社内呼称:ケアコンダクター)平均で32.8%の賃上げを実施してきた。
(SOMPOケア作成ニュースリリースを要約 12月27日)

2024年度介護報酬改定は診療報酬改定と同様に「賃上げ改定」と呼ばれ、プラス改定分は人件費に充当する措置が取られたが、賃上げ率は多くの他業種を下回った。懸念されるのは人材の流出だが、介護報酬改定は3年ごとなので、次回の改定で賃上げの原資を確保できるにせよ、3年も待たなければならない。
その間に処遇改善を実施するには国の補助を仰がなければならないのが、社会保障制度事業の厳しい現実だ。打開策として介護事業者が模索しているのが保険外サービスの確立で、厚生労働省や経済産業省も後押ししているが、容易な手段ではない。
利用者は全額を自費で支払わなければならず、富裕層でなければ、保険外サービスの利用は難しいだろう。げんに普及が進んでいないが、介護報酬の大幅なプラス改定を期待できない情勢にあって、賃上げ原資を確保するには保険外サービスの確立が問われてくる。
SOMPOケアも「公的介護保険以外の収入を増やしていくことで、処遇改善に充てられる原資の安定的確保に努める」と述べている。
同社はさらに「2030 年度までには、介護職の平均賃金を全産業平均水準まで引き上げることを目指し、今後も計画的に処遇改善を実施していく」という。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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