2025/01/08
日本生命保険は23日、全国約4万8000人の営業職員を対象に、2025年度に6%程度の賃上げを実施する方針を明らかにした。過去2年(7%)と同規模の高水準の賃上げを実現し、優秀な人材の採用と離職防止を図る。今後、労働組合との協議を経て正式に決定する。
日生は営業職員の賃上げの原資として、3年連続で100億円規模の資金を充てる計画だ。物価上昇が続く中、引き続き、賃金面での職員の処遇を改善することが必要と判断した。
営業職員の人員確保や定着は、大手生保の共通の課題となっている。競合他社では、住友生命保険が25年度に平均5%以上の賃上げを行う方向で調整を進めていることが明らかになっている。
日生はまた、本支社で働く約2万人の内勤職員について、25年度に約40年ぶりに「総合職」と「業務職(一般職)」の区分をなくし、「総合基幹職」に一本化する人事制度改正を行うことも検討している。
一般職に多い女性の活躍の場を広げ、多様な人材が活躍する会社を目指す。併せて賃上げも実施する方向だ。
(産経新聞 12月23日)
大手企業は2025年4月も前年並みの賃上げを行なう見通しだ。たとえば大和証券グループ本社は平均5%以上の賃上げをめざし、新卒総合職の初任給は1万円引き上げて30万円とする方針であると報道された。同様のニュースがこれからつづくだろう。
この動きを懸念している業界のひとつが医療界だ。24年度診療報酬改定は「賃上げ改定」と呼ばれ、プラス改定だったものの、プラス分は賃上げの原資に充当することが規定されたので、事業投資には充当できない。
しかも賃上げの原資を確保できたとはいえ、24年4月の賃上げ率は、多くの保険医療機関で2・5%前後だった。他業界との差が開いたうえに、次回の診療報酬改定が26年4月なので、25年4月の賃上げ原資は診療報酬で充当されない。どう対処するのだろうか。
たぶん医師が異業種に転職することはほとんどないだろうが、賃上げ格差を理由に、他の職種では異業種への人材流出が懸念されている。
同様に中小企業にも満足な賃上げができず、人材流出に悩む例が増えるのではないだろうか。25年4月賃上げ格差が顕著に現われそうだ。
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