2025/01/10
公益通報者保護制度の見直しを議論する消費者庁の有識者検討会は、通報者を解雇・懲戒処分にした事業者に対し、刑事罰を科すことなどを求める報告書案を取りまとめました。
現在の公益通報者保護法では、不正を通報した人に対して解雇など不利益な取り扱いを禁じる一方、罰則は設けておらず、通報者保護の実効性を問う声が上がっていました。
24日に示された報告書案では、公益通報した人を解雇・懲戒処分した事業者に対し、刑事罰を科すことを求めています。
また、通報者捜しについては禁止する規定を設ける一方、罰則の導入は見送られました。 消費者庁は、2025年1月の通常国会に公益通報者保護法の改正案を提出する方針です。
(FNNプライムオンライン 12月25日)
公益通報者保護制度が施行されて以降、通報された側は通報内容の事実関係を確認したうえで問題を解決するよりも、通報者を特定して定期人事異動に紛らせて閑職に追いやるとか、地方に転勤させるとか、あるいは人事評価で罰点を付けるとか、何らかの不利益を与えるケースが珍しくなかった。
表向きは報復人事に見えないように処理していたのである。悪い情報を上司に報告し、経営者まで速やかに報告することは危機管理の要諦だが、問題点を指摘された側は自分が部下に批判されたような心境になるのだろうか、報告をプラス評価するどころか、逆に見て見ぬふりをしなかった行為を咎める風潮が根強い。
多くの企業や団体は組織としてはムラ社会である。内向きの論理で組織が運営されているため、問題点を指摘されると波風が立つので困るのだ。たとえ違法行為が横行していても、見て見ぬふりをする。それがムラ社会の掟として定着してきたのだが、隠ぺいも報復も可視化されやすくなった。
そもそも公益通報をされるような状況を引き起こさなければよいのである。何か問題が発生したら真っ当に解決すればよい。悪い報告をした社員・職員を疎まずに、危機管理に貢献したと評価すればよいのである。
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