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都、港区で副業仲介拠点始動 ミドルシニアの活躍促進

東京都が50歳以上のミドルシニアの副業を後押しする施設「プラチナ・キャリアセンター」(PCC、東京・港)を6月に開業してから1カ月がたった。50代は20~30代と比べて副業の実施率が半分にとどまる。豊富な知見やスキルを持つ人材の副業を促すことで、中小企業の人手不足の解決につなげる。
「定年も見据えて複数の選択肢を持っておきたい」。7月下旬にPCCを訪れた50代の女性はこう話す。現在は小売業の総務系の部署で働く傍ら、空いた時間を使って動画編集のオンライン講座を独自に受講してスキルを磨く。
勤め先の定年規定は60歳。PCCでは常駐する相談員に同世代の副業の状況や副業をする際の金銭管理の注意点などを相談した。「周囲に副業をやっている同世代がいない。気軽に相談できる場があることは助かる」
PCCは都内に在住したり勤務したりするミドルシニアを対象に、副業の相談や副業を受け入れる中小企業とのマッチングなどを支援する。(中略)「50代後半から60代半ばまでを中心に週2~3人が副業の相談に訪れる」(上田悦子センター長)という。(日本経済新聞 7月31日)

「プラチナ・キャリアセンター」の「プラチナ」はプラチナ社会をヒントに用いたのだろうか。プラチナ社会構想を掲げる三菱総合研究所は、プラチナ社会について「誰もが参画・活躍し、生活の質が高く、心豊かな人生を送れる社会(全員活躍社会)」「持続可能な経済と制度を実現する社会(持続可能社会)」「世界の課題解決に貢献する社会(世界貢献社会)」をめざすと提示している。
全員活躍社会の骨格のひとつが就業年齢の延長である。三菱総研は「長寿化が進めば、80代、90代まで現役で活躍し続けることが、社会の持続に不可避となる。他方、卒業後の70年間は就職、学習、休職、転職を自由に組み合わせた多様なライフステージ設計が可能になる」という前提のもとに、「長く多様な人生がもたらす不確実性に対処し、自由度を活かして心豊かな人生を送るために、学び方と働き方のシステム変革が急がれる」と主張する。
定年後も長く働けることは全員活躍社会の要件だが、当人にとっては長く働けるスキルを現役時代に修得しておくことが必須だ。いまの法制度では、65歳を過ぎれば就業の保障はない。本業一筋ではなく副業を通じてスキルを磨き、受託先を開拓しておくことはリスクヘッジとして有効である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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