2025/03/18
富士通は7日、2026年度の新卒採用から、年度ごとに卒業予定の学生を一斉に採用する「新卒一括採用」のしくみをやめると発表した。新卒や中途採用など採用の枠組みに関係なく通年採用を導入する。年度ごとの新卒採用人数の計画もつくらない。事業や働き方の多様化に伴い、新卒でも職種別に採用するなど新たな採用のしくみが広がりつつあるが、大企業での新卒一括採用の廃止は珍しいとみられる。
新卒や既卒者、転職希望者などの募集形態に関係なく、職種ごとに必要な人数を通年で募集する。総合職や一般職といった採用区分もなくし、一律の初任給も廃止する。若手でも能力があればレベルの高い仕事に就いて、高い給与を得ることができるようにすることで、即戦力の人材や向上心の高い人材を引きつけたいという。多くの新卒入社者は年収約550万円から700万円程度となる見込みだが、仕事の水準によっては1千万円も可能という。
(朝日新聞 3月7日)
富士通は2020年から段階的に「ジョブ型人材マネジメント」を導入してきた。この制度は人事制度をジョブ型に移行させる趣旨で、賃上げにも反映させて、23年に全社員を対象に年収を平均約7%、最大24%引き上げた。その結果、事業部長クラスの年収は約2000万円から3000万円程度、課長クラスは約1200万円から1300万円程度、リーダークラスは年約1000万円以上になった。
同社はホームページに制度の考え方を示している。若手社員により専門性や付加価値の高い仕事を担ってもらい、仕事に見合った報酬で処遇するため、入社後数年間で行っていたような一部の定型的な業務はAI活用や業務プロセス改革によって見直し、高度な仕事に入社後早い段階から就いてもらう。
そのためには年計画数を定めて、一斉のタイミングや一律に採用するという考え方を改める必要があるという。メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に切り替えるには、採用方法も一律から随時に切り替える必要があると判断したのである。
学校は入学も卒業も一律だが、会社は一律に入社しても、中途退社が増えているうえに、定年退職が60歳の誕生月に設定されていて、個別に定年退職する例も多い。出口が個別なら入口も個別でよく、一律である必要はないだろう。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。