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元気シニア増加、報酬を重視…人材センター会員70万人割れ

全国のシルバー人材センターの会員数が19年ぶりに70万人を割り込んだ。企業で働く高齢者が増えた影響で会員獲得に苦戦していたところに、新型コロナウイルスの感染拡大が追い打ちをかけた形だ。元気なシニア層が増える中、「自分はシルバーではない」と考える人や、生活のために報酬を重視する層の“シルバー離れ”を指摘する声もある。
 全国シルバー人材センター事業協会によると、2020年度末の会員数は約69万8000人(男性約46万2000人、女性約23万6000人)となり、前年度比1万7000人減となった。
 シルバー人材センターは、1975年に東京都江戸川区に前身の「高齢者事業団」が誕生したのが始まり。86年に法制化されて全国各地でセンターの整備が進み、2002年度末には会員数が70万人を突破し、09年度末には79万人を超えた。その後は、厚生年金の支給開始年齢の段階的な引き上げに伴い、企業の定年延長や再雇用制度が広がった影響もあり、会員数が減少傾向になっている。新型コロナの感染拡大後は、外出を控える高齢者が就労をあきらめたケースも増えたという。
 人口減少などで人手不足が深刻な地域では、企業や自治体、家庭などからセンターへの仕事の依頼があるのに、対応できる会員がいないため、断らざるを得ないケースも出ているという。
(読売新聞オンライン 9月15日)

2018年度のデータだが、「高齢期における社会保障に関する意識調査報告書」によると、
何歳まで収入を伴う仕事をしたいかについては、「65 歳まで」が 24.9%、「70 歳まで」が 19.4%、「60 歳まで」が 16.6%。 また、「生涯働きつづけたい」は 7.8%だった。
年齢階級別では、年齢階級が上がるにつれて働きたいとする年齢が高くなり、働き方については、「働く日数を減らしたり、時間を短くして働きたい」が 51.8%、「老後は働かずに過ごしたい」が 28.0%、「現役世代と同じようにフルタイムで働きたい」が 5.1%だった。
 この就労意欲を支えているシルバー人材センターは全国に約1300カ所に設置され、登録者に仕事を斡旋している。会員は原則60歳以上で、平均年齢は73歳である。
リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」によると、19年時点で年収300万円以下は65歳で84.2%、70歳になると90.8%に増える。年収300万円は月に換算すると15万円である。この金額で過不足のない生活ができるのかどうか。
まして人生100年時代と煽られつづけている。70代にとって100歳までは20年以上も残されている。100歳を目標にした場合、せめて月20万円以上の収入を求めたいのではないか。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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