2020/12/07
会社で働きながら社外に職を持つ「副業」が普及している。日本経済新聞社と日経HRの共同調査では副業を認める企業は3割に上り、会社員の7割以上が関心を持っているとわかった。社員が本業で生かす知見や人脈を培う機会になる。専門スキルや多様なアイデアを募る手段としても、副業の活用が企業で広がりつつある。
Zホールディングス傘下のヤフーは「容認」にとどめていた副業を、積極的に取り組むよう全社員に促す。既に数百件の副業申請を受理した。一方、ヤフー社内で外部の副業人材も活用。小学生から80歳まで104人が新規事業企画などの仕事に従事する。
ANAは10月から新たに他社と派遣社員やアルバイトなどの雇用契約を結べるようにした。パイロット、客室乗務員ら1万5千人が対象だ。
(中略)
欧米では多様な働き方を実現する手段として副業が浸透している。米国では、約3千万人の副業者がいるとされる。(中略)英国やドイツは競合への副業を止めるなど正当な理由がある場合を除き、企業が従業員の副業を制限することは認められない。
(日本経済新聞 11月26日)
副業の解禁が普及するにつれて、それでも副業を禁止する企業には、終身雇用の保障や毎年の報酬アップなどが暗に迫られてくる。社員を縛り付ける以上は定年までの生活を保障せよと。それが無理な企業は、副業を解禁しない限り、人材確保に支障をきたすようになってくる。
副業を加速させるサービスもはじまっている。 11月30日付け日本経済新聞によると、人材紹介のジェイエイシーリクルートメント(JAC)は、12月1日から副業人材をヘッドハントするサービスをはじめ、主に中小企業向けに経営課題を解決できる人材を紹介する。JACは企業からの依頼に応じて、約800人のヘッドハンターが人材を探すという。
一方、副業の解禁は、企業にとって人件費抑制を正当化する理由にもなる。これだけしか払えないから、足りない分は外で稼いでほしいと考えるようになってゆく。他流試合による異質なスキルの獲得を副業解禁の理由に挙げる企業が多いが、それだけではないだろう。おそらく「人件費を抑制しやすくなる」「希望退職を募集しやすくなる」という理由も潜んでいるのではないだろうか。
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