2025/03/01
ローソンは1月、海外にいる従業員がオンラインで国内店舗の接客をする取り組みを始める。アバター(分身)を通じて、来店客にセルフレジの使い方を伝えたり声をかけたりする。海外と日本の時差を考慮したユニークな施策で日本の深夜帯の業務負担を減らす。人手不足の解消にもつながりそうだ。スウェーデン在住の日本人1人をアバター接客を担当するパート・アルバイトとしてこのほど採用した。
(中略)
従業員はローソンが貸与した端末を通じて、自宅などから複数店の接客を担当する。端末のカメラが操作者の動きを検知して、アバターの動作に反映する仕組みだ。アバターによる説明でセルフレジ利用率が高まるほか、店舗従業員のレジ業務の時間を1店舗あたり平均1.5時間超削減できるという。
(日本経済新聞 1月1日)
インターネットを経由して遠隔からアバターを操作し、店舗に来店した顧客と対話するサービスは、今までもあったが、その多くは国内からの操作だった。ローソンは今後、これをスウェーデンからも操作する。日本の深夜帯に昼間である欧州からアクセスすることは、深夜帯の人手不足に悩むコンビニにとってメリットが大きい。
このようなアイデアは、他の業界、たとえば、IT業界では、インターネットの普及が本格化した2000年頃からあった。米国、欧州、アジアに拠点を持つことで、24時間、どこかの拠点が昼の営業時間帯となり、ITシステムの開発や運用を止めることなく続けることができる。英語圏のインドは、これによって多くのITサービスの需要を米国や欧州の企業から獲得し、IT産業の高度成長を実現した。
同様に、ローソンのような日本の小売業も海外在住の人材を使うようになれば、移民をしなくても日本の仕事をすることができるようになり、海外人材の日本の労働市場への参加は容易になる。逆に、日本在住の人もローソンの海外店舗の仕事ができる。もし、日本人客が多いローソンの海外店舗で日本語を話す店員の確保が難しいなら、日本から日本人店員がアバターを操作して話すこともできるだろう。インターネットによって、労働市場の国境はますます低くなってきた。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。