2025/03/25
塩野義製薬は4月から基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を含めて6.4%賃上げする方針だ。労働組合員のベアは1万1000円とする。今回の賃金改善で執行役員を除く社員の平均年収は1000万円を超えることになるという。
語学力の向上や資格の取得などにかかる費用を支給する「自己投資支援」も5万円引き上げ、年間30万円とする予定だ。学習意欲の高い従業員に手厚く配分していく。
河本高歩人事部長は「(賃上げで)従業員が安心して能力を発揮できる環境をつくる」と説明する。自己投資支援の充実については「一人ひとりの成長に対する前向きな行動を支援したい」と話している。
(日本経済新聞 3月15日)
3月17日に大手企業の賃上げ発表がつづいた。丸亀製麵を運営するトリドールホールディングスが労働組合の要求を上回る平均7・2%、丸井グループがベースアップ3%、ニッスイがベースアップ1万3000円。
賃上げ以外にも、初任給では丸井グループが31万5000円、西武ホールディングスが32万円。ほかにもNECが幹部社員400人に年収の1割に相当する自社株を付与する。
これからも同様の発表がつづくだろうが、これが景気の良いニュースかといえば、けっしてそうではない。初任給アップは人材確保、賃上げは物価高騰で実質賃金が下がらないように、いわば社員の生活を守るという意図が込められている。
あるいは大幅な賃上げには、副業に走らなくても済むようにというホンネも潜んでいるかもしれない。副業による異質な経験が本業に役立つことはその通りだが、業績向上に顕著に貢献するほどではないだろう。副業の労働時間も管理する手間が発生すれば、会社にとっては持ち出しになるのではないだろうか。
むしろ本業に専念できるように、生活に不安が生じない水準の給与を支払う方針を固めているのはないかと。これはうがった見方だろうか。
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