2025/03/17
「77%が離職を検討している」――。
全日本自治団体労働組合(自治労)は加盟する都道府県立病院など全国の公立・公的医療機関で働く看護師ら医療従事者に対しWEBアンケートを実施。3月5日、東京都内で会見を開き、結果を報告した。
賃金低迷やそれに伴う人手不足、カスタマーハラスメントによる精神的疲弊など、地域医療の崩壊にもつながりかねない医療現場の深刻な状況が明らかになった。
アンケートの数字が深刻な状況を改めて浮き彫りにした。
自治労は、コロナ後の補助金廃止や物価高騰により医療機関の経営が悪化していること、人員不足が常態化していることなどを受け、医療現場の実態を把握するために昨年11月から今年1月にかけて、インターネット上で調査を行った。
質問数はおよそ10問(自由回答を含む)。47都道府県の各医療機関・事業所で働く1万434人から回答が寄せられた。 回答の男女別内訳は女性76%、男性23%、答えたくない1%。年代内訳は40代が31%、次いで30代24%、20代21%、50代20%など。職種別内訳は看護師が61.3%、次いで臨床検査技師5.1%、事務系職員4.7%、理学療法士4.0%、薬剤師3.6%など。
(弁護士JPニュース 3月6日)
医療従事者のなかでも職種によって賃金水準が異なる。全日本自治団体労働組合が実施したWEBアンケート調査の対象職種は61.3%が看護師なので、看護師の意見が多くを占めたと考えられる。
看護師など医療専門職の賃上げ対策として、2024年度診療報酬改定でベースアップ評価料が創設された。看護職員、病院薬剤師その他の医療関係職種について賃上げを実施していくための報酬である。厚生労働省はベースアップ評価料の創設によって、24年度に2.5%、25年度に2.0%のベースアップを行ない、定期昇給などと合わせて23年度までを上回る賃上げをめざすと発表した。
だが、他業界の賃上げ幅が大きかったうえに物価高騰を受けて、医療業界には賃上げに対する不満が充満している。関連団体は厚生労働省に処遇改善を求めてアプローチをはじめた。2月26日、日本看護協会は厚労省の黒田秀郎老健局長に処遇改善を要望書した。高橋弘枝会長は「在宅・介護領域に従事する看護職員の確保には、処遇改善が不可欠である。また、看多機の設置 推進のためには税制上の支援が必要」と述べた。
今春の賃上げも医療業界と他業界の賃上げ率に差が出るだろうから、医療従事者の不満はますます膨らむのではないだろうか。
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