2025/03/05
事業承継目的のM&A(合併・買収)でファンドが存在感を高めている。後継者不足に悩む取引先の多い地方銀行などの金融機関が相次ぎ参入し、事業承継ファンド経由のM&Aは2024年に100件を超えた。経営者の高齢化に伴い案件はさらに増えるとみられ、金融機関は支援体制の拡充を急いでいる。
レコフデータによると、24年に実行した事業承継M&Aは922件あり、うち107件にファンドなどの投資会社が介在した。10年前との比較ではM&A 全体が約4倍になったのに対し、ファンドが関わった案件は約10倍に膨らんだ。
背景にあるのが地銀の動きだ。千葉銀行は24年9月、傘下のちばぎんキャピタル(千葉市)と50億円規模の事業承継を支援するファンドを設立した。百十四銀行や鹿児島銀行が同様のファンドを既に立ち上げているほか、25年に入って滋賀銀行や四国銀行もファンドを新たに設けた。
事業承継ファンドは地銀とグループ会社が全額出資することもあれば、信用金庫や自治体と組んで出資するケースもある。数十億円規模が多く、中堅・中小企業を対象にする。廃業などによる地域経済の地盤沈下を防ぐ狙いだ。
(日本経済新聞 2月26日)
2月20日に開かれた後継者の新規事業アイデアを競うイベント「アトツギ甲子園」で、
経済産業大臣賞を受賞したのは林業を営む「あしだ 」(京都市南丹後市)の芦田拓弘取締役。
「林業のサプライチェーン革命!日本経済を変える木材流通システム」をテーマに、林業のサプライチェーンにITを導入し、全国の木材ユーザーが求める国産材を効率的に提供できるプラットフォームビジネスを開始することが評価された。
何を基準に審査されるのだろうか。基準は4つ設けられている。
第一に新規性。製品やサービスに新規性、独自性、イノベーションの可能性があるか。第二に持続可能性。中長期的な収益や成長が期待でき、持続可能な事業か。第三に社会性。社会課題を解決する、もしくは社会的意義がある事業か。第四に承継予定の会社の経営資源活用。承継予定の会社の有形無形の経営資源を有効に活用できている事業か。第五に熱量・ストーリー。後継者として当該事業を遂行する背景や情熱を持ち合わせているか。
この4つの基準は後継者の人選にも応用できる。4つをクリヤできる人材なら後継者の資質があると評価できるが、さらに問われるのは従業員との親和性だ。ビジネスの開発・展開に長けていても、良好な人間関係を築けないと短期間で退任に追い詰められてしまう例は数多い。
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