2025/02/26
40~50代の持ち家率が急低下している。国の最新の調査では全世代平均は横ばいだが、30年前と比べ10ポイント前後も下がった。このまま高齢期に近づく人が多い。今のこの年代は就職氷河期世代といわれ、就職難に見舞われた。現在も経済的な苦境は続いており、老後の年金も多くを望めなければ賃貸に住むこともままならない。「安住の家」を求めてさまよい続けることになる。
内閣府によると、就職氷河期世代はおおむね1993~2004年の間に社会に出た人を指す。日本総合研究所の下田裕介・主任研究員は「全体では2000万人を超えるとみられる」と分析する。実に総人口の6分の1だ。
5年に1回実施される総務省の住宅・土地統計調査では、持ち家率が最新の23年で40代58%、50代65・6%。30年前と比べ、いずれも10ポイント前後も低下した。ほかの世代と比較しても低下幅が大きい。
氷河期世代の持ち家率低下の一因と考えられるのが経済的苦境だ。文部科学省によると、大卒の就職率はバブル期の91年卒に比べ5~26ポイントほど低い。
(日本経済新聞 2月16日)
多くの場合、会社員の給与は50歳を過ぎると定年まで下降をつづける。この実態を踏まえれば、住宅ローンの返済は50歳までに完了したほうが生活設計のリスクを回避できるが、住宅購入価格がこれだけ高騰してしまうと、よほどの高給取りでない限り、たとえば30代で購入して50歳までの返済は至難だろう。
まして、たとえ黒字でもリストラが実施される時代である。DX対応能力を基準に退職対象年齢が設定され、メインは50歳以上だが、40歳以上が対象になる企業もけっして少なくない。住宅ローンを背負うことはリスクが大きい。
買ったほうがよいのか、借りたほうがよいのかという比較検討は、このリスクを含めなければ現実的とはいえない。
一方、リスクを避けて賃貸生活をつづけた場合、60歳を過ぎると賃貸の対象から外されてしまうという現実に直面する。その理由は家賃の支払い能力ではない。とくに一人暮らしに対して、物件オーナーは孤独死のリスクを懸念して賃貸を避けているという。孤独死の発生した部屋はすぐに発見されれば事故物件の告知が不要だが、それでも、どこかで知れわたってしまい、経済的損失が大きいのである。
Talk Geniusとは-
ヘッドハンティング会社のジーニアスが提供する人と会社と組織を考えるニュースマガジンです。