2025/02/24
第一生命ホールディングス(HD)は14日、1月に実施した希望退職への応募が、募集の1.8倍に当たる1830人だったと明らかにした。枠を広げ、希望者全員を制度の対象とする。
発表によると、制度の対象は傘下の第一生命保険とグループ内外への出向者を含む50歳以上かつ勤続15年以上の社員ら。通常の退職金に加え、基本給の最大48カ月分を上乗せ支給する。1月後半に約1000人を募集した。なお、組織運営を担う管理職などは制度の対象外としている。
大手生保は少子高齢化で国内の生命保険事業の環境が厳しくなる中、介護など生命保険事業以外の分野への事業拡大を図っている。第一生命Hでは、ビジネスモデルの転換に対応するため、一定のキャリアを積んだ社員の転職を支援する一方で、人材の多様化を図り、中途採用に力を入れている。
また、社名を第一ライフグループに変更することも発表した。生命保険以外の事業拡大を見据えたもので、定時株主総会での承認を得た上で、26年4月1日に実施する予定。第一生命経済研究所を第一ライフ経済研究所とするなど子会社4社の社名を変更するが、中核企業である第一生命保険の社名は変更しない。
(ブルームバーグ 2月14日)
ビジネスモデルを転換すれば必要な人材のスペックも変わってゆく。大手企業は雇用の維持よりも人材の入れ替えにシフトしつつあり、黒字リストラを批判する意見も聞こえてこない。たとえ社員を「人財」と表現しようが、企業の維持発展のコマに過ぎないことを世間が受け入れる時世になった。
第一生命グループが実施した希望退職も、理由はビジネスモデルの転換である。2024年度からスタートした中期経営計画において、国内事業のビジネスモデル変革、海外事 業の拡大、非保険領域の新規事業拡大、生産性向上に資するDX推進などに取り組んでいる。この取り組みに際して「人財の多様化とスキル向上を一層推進することをめざしている」というが、その目的に向けて希望退職を募集することについては、こうコメントしている。
「一定のキャリアを積んだ社員に対し、習熟した知識やスキルを社外で活かすセカンドキャリアを選択しやすくなる充実したサポートを提供する」
約1000人の募集に対して1830人の応募があったのは、セカンドキャリアの目途がついた社員も多いのだろうが、それだけでなく割増退職金が多額であることで退職を決断できたのではないだろうか。最大で基本給の48カ月分が支給されるが、基本給の4年分だから、いわば4年分の生活費である。前途の不安を抱かずに退職できるだろう。
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