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中小企業、賃上げ2年連続53% 連続見送りも61%、二極化進む

2024年に賃金の引き上げを実施した全国の中小企業約3千社のうち53%が25年も賃上げを予定していることが1日、大同生命保険の調査で分かった。24年に賃上げをしなかった約2千社のうち61%が2年連続で実施を見送ると回答し、二極化が進んでいる実態が明らかになった。  
25年に実施予定の賃上げ率は3%未満が半数を超え、平均では3.4%だった。実施する理由(複数回答可)は「従業員の意欲向上」が39%と最も多く、「従業員の確保・定着」が22%と続いた。  
実施を見送る理由(同)としては「将来の売り上げに不安がある」が24%を占め、次いで「価格転嫁が十分に進んでいない」が16%だった。
(共同通信 2月1日)

 社員15人の事務処理代行サービス会社の社長に今春の賃上げ予定を聞いたら「少しは賃上げするが、大手企業のように5%以上の賃上げはできない。社員の生活を考慮して賃上げしてあげたいけど、わずかしかできないのが実情だ」と嘆いていた。クライアントに価格転嫁を打診しないのだろうか。「その理屈は分かっている。でも立場が弱いから言いにくい」という。
 この悩みに呼び掛けるイベントが2月4日に開かれた。イベント名は「価格転嫁推進東京大会」で、開いたのは、東京都商工会議所連合会 東京商工会議所 東京都商工会連合会 東京都中小企業団体中央会 東京都商店街振興組合連合会 東京都商店街連合の6団体である。
大会で、東京商工会議所の小林健会頭は「価格転嫁を浸透させるため、中小企業が主体的に価格交渉や付加価値の創出に取り組む必要がある」と訴えた。さらに「価格転嫁推進東京大会」共同宣言が発表された。
共同宣言は「中小企業・小規模事業者の取り組み」として「コスト上昇分の価格転嫁に向けて、発注者との価格交渉を積極的に実施します」「価格交渉にあたり、コストの変動をデータ、資料を通じて取引先へ明示するなど発注者の理解醸成を図ります」「価格転嫁が円滑に進むよう、付加価値向上に取り組み、競争力強化に努めるとともに、生産性向上に取り組みます」と盛り込んだ。
さらに主催中小企業6団体の取り組みとして、価格転嫁・生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者のサポートを宣言したが、中小企業・小規模事業者の自助努力には限界がある。各団体の交渉力に期待したい。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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