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農林中金、理事の兼職解禁へ 外部人材登用で法改正方針―農水省

 農林水産省は28日、外国債券の運用失敗で巨額損失が問題となっている農林中央金庫の資産運用体制などを検証する有識者会議を開き、報告書を取りまとめた。報告書は「外部の視点がなく、経済情勢や組織運営などに関する多様な視点が確保できていない」と指摘。専門的な知見を持つ外部人材の採用に向け、理事の兼職解禁などを提言した。
 これを踏まえ、農水省は農林中金法を改正する方針だ。同省によると、農林中金の奥和登理事長は同日の会議で「真摯(しんし)に受け止め、しっかり対応を検討したい」と述べた。
 報告書は市場運用の経験がある理事の増員のほか、理事の兼職を禁じた農林中金法の見直しを要請。農業や食品産業への出・融資の拡大や、債券の運用期間の長短を組み合わせた分散投資の推進も盛り込んだ。
 江藤拓農水相は報告書を受け取り、「法改正を含めた対応をしたい。信頼回復は簡単ではないが、農林中金をしっかり指導していく」と述べた。
(時事通信 1月28日)

 組織の価値判断基準の根底には風土が広がっている。その顕著な例がフジテレビをめぐる諸問題だ。暫定的な体制として新社長が発表されたが、突然の事態だったので、内部昇格人事だったのはやむを得ない。第三者委員会の調査結果を受けて、新体制が発足するのだろう。
 風土を改善するには、その風土の中で何十年も働いてきた人たちで経営陣を固めることは合理的でない。その風土が身体に染みついているので、改善の必要性や改善のポイントを認識できても、いまさら切り替えは難しい。
 この場合、新たな経営トップとして望ましいのは外部人材である。たとえば2010年に会社更生法を申請した日本航空会長に京セラ創業者の稲盛和夫氏を招聘して、様々な改革を行なって再建がかなった。
就任当時には「航空業界の経験がない」という懐疑的な見方もあったが、矮小な見方にすぎなかった。航空業界の慣行に拘泥しない外部の実力者だからこそ再建できたともいえる。風土が問われているフジテレビの再建も「ギョーカイ人」以外の人材に経営を委ねたほうがよいが、「テレビ業界を知っている人でないと……」という固定した思考にとらわれてしまうのかどうか――。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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