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大和ハウス、ベア9万2945円実施 年収平均10%増

大和ハウス工業は20日、正社員約1万6000人を対象に基本給を一律で底上げするベースアップ(ベア)で月額9万2945円の昇給を4月から実施すると発表した。賃上げ率は23.5%だ。支給率が高かった賞与の割合を減らし給与を安定化させ、年収ベースでは平均約10%増となる。
2024年までの4年間も継続的に賃上げしていたが、昇給額は定期昇給も含めて5326円から1万8792円だった。大幅な賃上げに踏み切り、人材の定着を狙う。大和ハウスは「月例給与と賞与の比率を大きく見直し、業績に左右されない月例給与水準を大きく引き上げる」と説明する。年収に占める賞与の割合は減少する。
あわせて4月に入社する大卒者の初任給を10万円引き上げ、35万円とすることも発表した。大学院修了者も10万円増の36万2000円、高専・専門学校卒も同33万2000円とする。建設・不動産業界で最高水準となる。
(日本経済新聞 1月20日)

空前の初任給高等時代である。いまのところ30万円超を支払う企業はほんの一部に過ぎないが、遠からず30万円がスタンダードになり、この水準まで引き上げられるかどうかが新卒採用のひとつの焦点になるだろう。賃上げが限界に到達しつつある中小企業はさらに一層不利になってゆく。
一方、社員にとっては、こうも物価が高騰すると多少の賃上げでは生活の安心を得られない。
大和ハウス工業は大幅賃上げの理由について、次のように述べている。
「近年は物価上昇が続く中、継続的な給与改定を行ってきましたが、2025年度は、より安心して意欲的に能力が発揮できる環境を整備するとともに、中長期的に事業の成長を担う人財を確保するため」
「月例給与と賞与の比率を大きく見直し、業績に左右されない月例給与水準を大きく引き上げるもので、社会情勢や当社業績を踏まえて、特に若年・中堅層への配分を厚く」
いずれも、社員の生活支援に重点を置いていることが反映された内容である。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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