2025/01/21
公正取引委員会は2025年末までに施行する巨大IT(情報技術)新法の執行を見据え、ITの非常勤人材を事務次官級の報酬で民間から採用する。米アップルや米グーグルといった巨大ITの技術仕様を理解できる専門家を確保し、規制の実効性を高める。
藤本哲也事務総長が定例の記者会見で明らかにした。公取委はスマートフォンのOS(基本ソフト)やアプリストアで巨大ITの独占を防ぐ新法の施行を25年末に控える。執行に向けて、現在7人いるデジタル専門人材を10人規模に拡大する。
デジタル人材を束ねる「チーフテクノロジスト」には、年収換算で1400万円と事務次官の基本給なみの報酬を支払う。週に2回勤務する非常勤のため、実際の支払いは655万円程度となる見通しだ。兼業も可能にする。25年度予算案に関連費用を計上した。
チーフテクノロジストは巨大ITの最高技術責任者(CTO)らと直接折衝し、事業運営に問題がないか監視する役割などを担う。国内で高度なデジタル人材の不足感は強まっている。公取委は霞が関で最高水準の報酬を支払い、人材を確保する狙いだ。
(日本経済新聞 1月8日)
巨大ITに規制をかける規制新法の正式名称は「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律」で、通称「スマホソフトウェア競争促進法」。2025年12月19日までに全面施行される予定である。
法律の目的は「特定ソフトウェアの提供等を行う事業者としての立場を利用して自ら提供する商品又は役務を競争上優位にすること及び特定ソフトウェアを利用する事業者の事業活動に不利益を及ぼすことの禁止等について定める」ことにより、「公正かつ自由な競争の促進を図ること。
指定事業者が禁止行為に違反すれば、日本国内での売り上げの20%を課徴金として支払わなければならない。摘発するには禁止行為のカラクリにも踏み込む必要があるだろうが、公正取引委員会が、規制される側の中枢で働くIT人材のスカウトが手っ取り早い。
だが中枢の人材をスカウトするには、年収2000~3000万円は必要だろう。事務次官級でも少ないかもしれないが、行政組織の秩序を鑑みたうえで、次官の報酬を超える給与水準を支給できるのかどうか。
この記事にあるチーフテクノロジストも基本給が事務次官級とはいえ、週2日勤務であることから実際の支払いは655万円程度となる見通しという。結局、事務次官級には遠く及ばない金額である。
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