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春闘で賃上げ、46%が積極姿勢 共同通信調査、ベア検討も多く

共同通信社は2日、主要114社へのアンケートをまとめた。2025年春闘で賃上げを「実施する予定」と回答した企業は21%だった。「前向きに検討」と合わせると、全体の46%が賃上げに積極的な姿勢を示した。長引く物価高騰が従業員の生活を圧迫しており、ベアを検討する企業も多かった。
 賃上げに積極的な企業のうち、ベアを「実施する予定」は28%、「前向きに検討」は51%。定期昇給とベアを合わせた賃上げ率は「前年と同程度」が28%、「前年を上回る水準」が8%だった。味の素など2社は物価上昇分を超える賃上げを行うと回答した。  
賃上げの理由を複数回答で質問すると、76%が「物価上昇への対応」を挙げた。「社員の定着や人手不足の解消」(62%)が続き、「政府の賃上げ要請への対応」(42%)を意識する企業も多かった。  
賃上げ「未定」とした企業も45%に上った。春闘に当たっての懸念点は「海外経済の不透明感」が39%で最多。「原材料高などのコスト上昇」(36%)や「国内経済の不透明感」(35%)を警戒する回答もあった。
(共同通信 1月3日)

この記事にある主要114社は大手企業だから、賃上げ余力があるだけでなく、賃上げの理由に「政府の賃上げ要請への対応」(42%)を挙げている。政治主導の賃上げでは安倍晋三元首相のメッセージが大きかった。そのメッセージが、菅義偉政権、岸田文雄政権を経て、石破茂政権に移行しても継承されているのだろう。
一方、今春の賃上げについて、連合の芳野友子会長は新年の挨拶で独特の表現で意向を述べた。
「近年の賃上げの成果により、『賃金は上がる』という新たなノルム(規範)が生まれつつあります。今年は、この流れを『巡航軌道』に乗せ、その新たなノルムを確固たるものにする重要な年になる」
2025 春季生活闘争方針は「みんなでつくろう!賃上げがあたりまえの社会」で、賃上げの目安は、賃上げ分 3%以上、定昇相当分(賃金カーブ維持相当分)を含め5%以上である。 
だが多くの中小企業の多くにとって、賃上げをノルムにしたくともかなわない。賃上げをノルムにするには、価格転嫁をノルムにしなければならないが、この課題は政府が主導しないと展望が開けない。

小野 貴史

著者情報:
小野 貴史

1959年茨城県生まれ。立教大学法学部卒業。経営専門誌編集長、(社)生活文化総合研究所理事などを経て小野アソシエイツ代表。25年以上にわたって中小・ベンチャー企業を中心に5000人を超える経営者の取材を続けている。著書「経営者5千人をインタビューしてわかった成功する会社の新原則」。分担執筆「M&A革命」「医療安全のリーダーシップ論」

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